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「LGBT」など性的少数者の人権、セクシュアリティの多様性、クィア論、男女共同参画などや、そうした観点に引きつけてのコミュニケーション論、メディア論、「アニメとジェンダー」など、ご要望に合わせて対応いたします。※これまでの実績などはお知らせブログにて

わがくるま星につなぐ [多様なセクシュアリティ]

お知らせブログにも記事がありますが、甲南大学での非常勤講師も、今年度のジェンダー論への担当回の出講は今月でミッションクリアしました。
受講生のみなさんは、さて、どのくらい「性別について、わけがわからなくな」ってくれたでしょうか(^o^;)。

で、例年なのですが、甲南大学で授業をするときは、2つほど「甲南ネタ」を入れます。

1つはもちろん、オシャレな学生街・岡本を踏まえて、「こういうところで女子大生がしたかった(…けど、実際には往年の学生生活は男子として送らざるをえなかったのは大きなルサンチマン」というトランスジェンダーとしての自分語りの一環。

そして、もう1つは、甲南の学園歌にある「我が車、星につなぐ」という歌詞について。

これはアメリカの思想家エマソンHitch your wagon to a star という言葉が元で、簡単に言うと、「星」に象徴される【理想】を見失わずに、地に足のついた【現実】への対処としての「車」を引いてけ、という大意です。

 ※検索して出てきた関連サイト
南グリの徒然なる日常:甲南大学グリークラブ創部60周年記念演奏会
 → http://konanglee.blog8.fc2.com/blog-entry-62.html
甲南大学図書館ブログ:『The Drinking Gourd』ほかUnderground Railroad関連本
 → http://konanlibrary.seesaa.net/article/206125377.html


じつはこれは、セクシュアルマイノリティ問題を考える上で、非常に重要なスタンスとつながっています。

セクシュアルマイノリティがしんどい思いするのは社会のあり方があまりに性別二元的で異性愛主義的だからで、そうでなくなれば本当はLGBTだって「普通」になる……のが目指すべき【理想】です。

ただ、ソレばっか唱えていたって厳しい現実は何も変わらない。
だから現状そうなってないがゆえに起きる個々の具体的な問題には、その理想をふまえて【現実】的な対処が望まれるわけです。

実際、悩んでいるセクシュアルマイノリティ当事者の、その周囲にいる人だって一介の市民です。いきなりドラスティックに世界を変える能力があったりはしません。

だから、できることといえば、相手に寄り添い「あなたは悪くない」「あなたはありのままのあなたでいていいんだヨ」というメッセージを有形無形に伝え続けることの他には、せいぜいいちばん眼前の具体的な課題に対処する力添えをすることくらいでしょう。

とはいえ、そうした目の前のモンダイに汲々として物事の深層を見失ってしまうと、こんどは現実の荒ぶりに飲み込まれかねません。
理想を見失っては、目指すべき方向に進めなくなってしまいます。

要は、【理想】と【現実】のバランスが大事なのです。


……ということは、このセクシュアルマイノリティ問題に私たちが対処するうえでの望まれるスタンスが、なんと、甲南の学園歌には歌い込まれていた! というわけなのです。

つまり、セクマイ・フレンドリー、それこそ甲南スピリッツ!!
…だったという話(で授業を締める)。


ともあれこの【荷車を曳きながら星を目指す】センス、あるいはバランス感覚は、こうしたセクシュアルマイノリティ案件に限らず、何においても大切なのではないでしょうか。


 


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