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「LGBT」など性的少数者の人権、セクシュアリティの多様性、クィア論、男女共同参画などや、そうした観点に引きつけてのコミュニケーション論、メディア論、「アニメとジェンダー」など、ご要望に合わせて対応いたします。※これまでの実績などはお知らせブログにて
障害者だけが事前連絡を強いられるのは差別 [経済・政治・国際]
いわゆる車椅子のユーザーなどに対して「身体に障害を持つ人々」などと言い表すのは非障害者側の欺瞞であって、身体障害者がさまざまな制約を受けているのは、非障害者側が多数派の基準で社会の枠組みを作ってしまっていて、各種のインフラストラクチャーもそれに沿って整えられているために、そこからは想定外となっているせい……というようなことは前から言っているとおりです。
いわば「障害者」とは社会がその人たちに対して《障害物》を設けてしまっている、そういう人々なのです。
※なお、障害者の「障害」とは本人に内在するのではなく社会の側に置かれた障害物だという観点から、私は「障害者」の《害》の字は漢字で書く派です。
運動会のプログラムに「障がい物競走」とは書かないのと同じですね。
というか、非障害者のほうを「健常者」と言い表すほうがよほど傲慢な用語法であって問題だと思います。
運動会のプログラムに「障がい物競走」とは書かないのと同じですね。
というか、非障害者のほうを「健常者」と言い表すほうがよほど傲慢な用語法であって問題だと思います。
【参考】
佐倉ジェンダー研究所web本館/太陽の塔は女か男か!?
#15 トランスジェンダーと障害学
~「障害者用トイレ」からノーマライゼーションを考える
http://tomorine3908.my.coocan.jp/sun-tower/015.normalization.htm
(全文は『性同一性障害の社会学』所収。…大トリです)
同時に、そうした状況下で障害者が差別されるのは、多数派の基準から外れることを社会的に逸脱行為だと受け止められるのに起因することにも留意が必要でしょう
(その意味では、性的少数者とも同じ軸線上にあると言えます)。
大事なのは、いわゆる障害者をはじめとするさまざまなマイノリティの存在を想定に入れた制度設計であり、多様な存在を包摂できるシステムあり、誰もがありのままで受容され居場所がある社会にしていくことなのです。
昨今はバリアフリーも進展し(多くの一般の人々の意識がいまだついてきていない、すなわち「心のバリアフリー」には今なお課題が残っているのはさておいても)一昔前にくらべれば「障害者が普通に」街へ出て行動することへの障壁も下がりました。
障害者をサポートする設備や人員面での公の態勢も、相応に整えられてきていると言えるでしょう。
ただ、まだまだ不十分で道半ばという側面も少なくはないかもしれません
(たまに何か問題が起きてニュースになるのもそのあらわれでしょう)。
(たまに何か問題が起きてニュースになるのもそのあらわれでしょう)。
特に、公共施設・公共交通機関などでも、障害者が利用する際には事前の連絡を要するというような運用はしばしば見られるところです。
たしかに現状での妥協点としては「きちんと対応しますから《事前連絡》ください」というのは、順当な落としどころではあるでしょう。
現実としてイレギュラーな対応が行われる以上は、いわゆる「おもてなし」から安全確保などまで含めた万全の準備で迎えるためには、あらかじめ情報が入っているほうが現場としてはやりやすい。
あるいは、事前連絡さえ不要なように常に盤石の体制を整えておくためには相応のコストがかかります。
そのための費用を誰がどのように負担するのかという点には議論の余地もあるでしょう。
別のところで望まれている何かの予算を削ってでもこちらに回すだけの優先度があるのかどうかも、そうした他のニーズとの兼ね合いで相対的に決まってくるものです。
そのための費用を誰がどのように負担するのかという点には議論の余地もあるでしょう。
別のところで望まれている何かの予算を削ってでもこちらに回すだけの優先度があるのかどうかも、そうした他のニーズとの兼ね合いで相対的に決まってくるものです。
しかしそれでも、そうした現実とすり合わせて妥協点を探った対応というのは、あくまでも本来は「事前連絡」なども含めて障害者だけが通常なら必要ない・求められない余分な労力を強いられるのはやはりノーマライゼーションの理念からすれば好ましくないし、差別につながる……ことを誰もが認識したうえでの暫定的措置であるというのも大前提なのは忘れてはなりません。
本来は社会全体で公平に分担すべきコストを「事前連絡」の現場にだけ押し付けるというのは甚だ不公正なことでしょう。
現状やむを得ずそうした運用にしていることについては、遺憾の意を共有するのがこの社会を構成する者の責務だと言えます。
現状やむを得ずそうした運用にしていることについては、遺憾の意を共有するのがこの社会を構成する者の責務だと言えます。
さて、そんな中で、先日依頼を受けて講師をした講演会では、いわゆる聴覚障害者向けの手話通訳がありました。
これはもちろんもう初めてのことではなく、今までにも手話通訳を必要とする人が参加する場合には主催側がきちんと対応して準備を手配するケースは、何度となくありました。
多様な人の存在に合わせて必要な措置をとるという観点からは当然のことでもあります。
多様な人の存在に合わせて必要な措置をとるという観点からは当然のことでもあります。
とはいえ、演者としては気を使うのも一面の事実。
あまり早口にならないように注意を払ったり、手話で表現しにくそうな話題は避けるとか……。
「ちっ、面倒だナ;」
私も人間がデキてないので、ついついそう思ってしまおうという誘惑には苛まれます。
ハイ、しかしソレこそが多数派特権!
自分がその要素については世間一般の「普通」の基準に当てはまっている側にいるからこそ抱ける感情に過ぎないんだぞという自覚は忘れないよう肝に銘じないといけません。
というわけで、手話通訳担当の方と打ち合わせに臨むことになります。
なんのかの言っても講演テーマが「LGBT」「セクシュアルマイノリティ」「性の多様性」……といった比較的新しい概念だとなると、いろいろやはり大変ではあります。
しかも私が、単純に「性同一性障害とは心と身体の性別が一致しないこと」みたいには言い切らない人なので(できるだけ「そもそも性別って何だ!?」みたいな方向に持っていったり)、そのせいで「いわゆる」がやたら増えたりと、微妙なニュアンスを込めた言い回しなども少なくありません。
なので打ち合わせは必須なのですが、私としてはいつも手話通訳担当の方々には恐縮するところなのです。
あるときの手話通訳担当の人は、
「演者の人がどのようにお話になっても、それを的確に手話に直すのがワタシたちの仕事ですから、どうぞ何も気にせずに喋ってください」
と仰ってくださったのですが、思わず脳内で『プロフェッショナル 仕事の流儀』風のPVになって再生されたのは言うまでもありません。
「演者の人がどのようにお話になっても、それを的確に手話に直すのがワタシたちの仕事ですから、どうぞ何も気にせずに喋ってください」
と仰ってくださったのですが、思わず脳内で『プロフェッショナル 仕事の流儀』風のPVになって再生されたのは言うまでもありません。
そんなこんなで、ひととおりの打ち合わせを終えた後、同席していた主催側の担当者に、私は念のための確認として訪ねました。
「え~とちなみに今日は手話通訳を必要とされる方は何名くらい来られるんですか?」
すると……
「わかりません」
「えっ、え…??」
「事前申し込みは不要にしてますので」
「……ソレってつまり、手話通訳が必要な方がいきなり来ても大丈夫にしてるってことですか!?」
「はい」
にゃんですと~っ!!
バリアフリー対応はそれなりに進んだこの2010年代にあっても、いまだ要《事前連絡》がスタンダードな中で、これはなんという先進性!
誰であれ、事前連絡のことを気にせずに思い立ったら参加できるというのは、ノーマライゼーションの理想形態。
それが実現されているというのは、現状ではなかなかスゴイことです。
それが実現されているというのは、現状ではなかなかスゴイことです。
もちろん、言い出したら「必要なのは手話だけか」という指摘もありえましょう。
実際、英語への同時通訳なども、もしかしたらニーズがあるのかもしれません
(幼児の保育についての事前予約の要否などは確認しそびれました)。
実際、英語への同時通訳なども、もしかしたらニーズがあるのかもしれません
(幼児の保育についての事前予約の要否などは確認しそびれました)。
また、手話通訳に常時対応できる態勢を維持するためのコストを考えれば、限られた予算配分の中で、どこが削られてこちらに回ったのか、その妥当性などは議会の予算案審議の場などで議論が必要でもあるでしょう。
それでも、その志やヨシ(*゚∀゚)ノ
こうした取り組みは、将来へ向けた、社会のユニバーサルデザインのひとつのモデルケースとして、高く評価されるべきではないでしょうか。
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