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トロピカル~ジュプリキュアに見る新時代の「女子の仲たがい」描写 [メディア・家族・教育等とジェンダー]

変身少女ヒーローものジャンルのオピニオンリーダーとも言えるプリキュアシリーズ。
先月末に最終回を迎えた、その2021年度の作品『トロピカル~ジュ!プリキュア』についても、例年に違わず、評価ポイントが多々ありました。

まずは、前記事からお読みいただけると幸いです。

  → トロピカル~ジュプリキュアに見る新時代の「人魚の身体感覚」描写
  https://stream-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/2022-02-02_TrPr-NewNingyo
◇◇

『トロピカル~ジュ!プリキュア』は、キュアサマーへの変身者である夏海まなつが、人魚のローラと出会うことから物語が始まるというあたりは、前記事で述べたとおりです。

同時にまなつは、入学した中学校で同級生となった、後にキュアコーラルへの変身者となる涼村さんごと仲良くなり、物語はさらなる動きへとつながっていきます。

で、そんなわけで夏海まなつと涼村さんごは中学1年生なのですが、次にキュアパパイアへの変身者として登場する一之瀬みのりは2年生でした。

こうして、ほどなく創設される部活「トロピカる部」のメンバーが揃っていくのですが、みのりは1学年上級生、いわば「みのり先輩」です(まなつやさんごからは「みのりん先輩」という愛称で呼ばれるようにもなっていました)。

そしてもうひとり、事前に公式情報として『トロピカル~ジュ』に登場するプリキュアが明らかになっていました。
それがキュアフラミンゴであり、変身者は滝沢あすか、学年は3年生。

したがって、やはりまなつたちからは、あるいはみのり先輩にとっても上級生です。
滝沢あすか登場~キュアフラミンゴ初変身を控えた第5話の放送が近づく頃には、ファンの間でも「あすか先輩」という呼び方が普及してたりしました。

あすか先輩……と言うと、つい『響け!ユーフォニアム』シリーズに登場する赤縁眼鏡のアノ人のことも思い出しちゃうねぇ」
「あぁ、声がキュアダイヤモンド/菱川六花と同じアノ人……」
「(…そういや菱川六花も赤縁の眼鏡をかけてるときあったなぁ)」
「([cv:寿美菜子]キャラって総じてエモいん;)」
「(「あすかお」はヤバいんだよなぁ……)」
「(「マナりつ」はハンパなかったなぁ……)」

第5話放送の前日、ネットの情報などを再確認しながら、ワタシは娘とそんなふうに軽いヲタ話を楽しんでいたりもしました。
そう、ほんの軽いネタのつもりで……。

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※アニメイトタイムズ 2021年3月27日記事[TVアニメ『トロピカル~ジュ!プリキュア』第5話「先輩参上! 燃えろ!キュアフラミンゴ!」の先行カット到着]を表示した画面.
当記事中その他の画像はトロピカル~ジュ!プリキュア放送画面から.引用要件に留意した上で貼付しています
◇◇

そして始まった『トロピカル~ジュ!プリキュア』第5話「先輩参上! 燃えろ!キュアフラミンゴ!」。

開幕早々、ひょんなことから路上で昭和の番長マンガに出てくるような不良グループに絡まれて当惑する夏海まなつ。
そしてソコへさっそうと登場するのが、そう、「あすか先輩」こと滝沢あすか。

口汚く詰め寄ってくる不良グループに毅然と対峙したあすか先輩は、華麗な立ち回りで不良たちを一蹴。
かくして不良グループはほうほうのていで退散するのでした。

ぉおぉ~カッコイイ!

たまたま通りがかって見かけた不当なおこないを見逃せない。
曲がったことは見捨てておけない真っ直ぐな性格。
それこそ昭和の番長マンガの主人公のような「侠気のある」一匹狼であり、そのスタンスを裏打ちするくらいケンカも強い。

この短いシーンに、そうしたあすか先輩のキャラ付けが凝縮されています。

そんなあすか先輩の為人に感銘を受けたまなつはローラとともに、翌日の学校であすか先輩を、創設準備中の部活「トロピカる部」に(←この第5話の時点ではまだ部名は決まってませんが)、そして4人目のプリキュアにも勧誘します。

しかし、やはり一匹狼気質なのでしょうか、あすか先輩は、自分は誰ともつるむ気はないと言って、誘いを固辞するのでした。

………はい、このあたりまでの展開は、だいたい事前情報にあったとおりです。
おそらくは、この後いろいろあってキュアフラミンゴ誕生となるのでしょう。
視聴者はだいたいそう思って画面を見つめていました。


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と、そこへまなつを呼び止める声が。
生徒会長・白鳥百合子の登場です。
いかにも生徒会長な、知的でクールなキャラのようです
(シリーズ過去作だと、そういうキャラ、プリキュア変身者の中にいたりすることもわりとあるのですが………)。

曰く、提出された部活新設の申請書、部名は未定、活動内容も曖昧すぎる、コレでは受理できない。
たしかに画面に映っている書類の記入内容を見ると、その指摘にも一理あります。
ところが。
百合子会長は続けます。
今はもう部室として使用できる部屋は残っていない。なので新規部活はそもそも認められない。

それを耳にしたあすか先輩、思わず割って入ってしまいます。
部室用の部屋が用意できない状況を改善しないのは生徒会側の怠慢。
その責任を部活を作りたい側に転嫁して申請を却下するのは理不尽だ。
これは捨て置けない。
昨日と同様に持ち前の義侠心のスイッチが入りました。
「おい! それはオカシイだろう!?」

すると百合子会長、
「あら、何がオカシイの、滝沢……あすか、さん??」
意味ありげに微笑すると、そんなふうにわざとよそよそしくフルネーム呼びをして返答します。

……………ちょ、待……、え゛っ、ナンだ?? これっ!?

いかにもいわくありげです。
前後の細かい描写でも、百合子の登場に対しあすかが何やら複雑な表情を浮かべるカットをはじめ、2人の間に並々ならない因縁があることが示唆されます。

しかも、どことなく、この2人、かつては互いに引力で結ばれた特別な関係だったのが、何かのきっかけで行き違い、その後こじれまくって現在に至っている、そういう空気感を醸し出しているではありませんか。

ということは、さっきのいかにもわざとらしいフルネーム呼びは、かつては「あすか」「百合子」と親しく呼び合っていた過去の裏返し……。

いゃぃやいゃ、聞いてないですヨ、こんな展開!


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結局、その場は、あすか先輩がいろいろ啖呵を切った結果、百合子会長から部室用の場所が用意できたなら新部活の申請を認めてもよいという方向の原質を取ることになります。

つまるところ、コレがきっかけであすか先輩がまなつたちと行動を共にする流れができたわけですが、その直後の部室探しの過程では、あすか先輩には何やら「仲間」というものを信じられなくなる出来事が過去にあったのではないかということが示唆されます。
現在は一匹狼のような立ち位置なのも、仲間という存在への不信感から孤高を貫いているようにも見えてきます。

さらにはテニスコートの近くを通ったときに、そちらの方向に遠い目を向ける描写も。
仲間を信じられなくなるような出来事があったとすると、それがテニス部の? 活動に?? 関係しているということなのでしょうか。
そういえばキュアフラミンゴに変身した際の敵モンスターを浄化する決め技、いわゆる必殺技の技名も「ぶっとびフラミンゴスマッシュ」で、すなわち「スマッシュ」の名のとおりテニスにモチーフが取られているので、これも「あすか先輩はテニス経験者」説を補強しています。

で、そのテニス部での過去と百合子会長が密接につながっていると……。

う゛ーむむむ。
滝沢あすか×白鳥百合子
これはなかなかディープな百合です。

プリキュアで百合が見れるのはカツ丼にカツが載ってるようなもんですから驚愕には値しないとしても、この「あすゆり」は、ちょっと明後日の方角の斜め上からの攻撃です。
予期してなかったというか想定外というか意表を突かれたというか;

そして極めつけ、校内で偶然、あすかと向こうからやってきた百合子がすれ違うのですが、2人ともあえて目を合わせないようにしながら無言で行き違っていくのです。

いゃもぅ、このテイスト、完全に「原作:T田A乃」ぢゃないですかっ!

絶対この2人、互いが互いのことを大切に思って取った行動が、ふとしたはずみで裏目に出て、そこからフクザツな感情が入り混じる中でどんどんこじれていった、その系統に間違いないっスよ;

エモい、激エモですエモすぎるっ!

おお、なんということでしょう。
まさかの「あすか先輩」という言辞が、そういう空気感まで呼び込んでしまったということなのでしょうか!?

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そんなこんなで、夕刻、バイトから帰ってきた娘に、「今日のプリキュア、ヤバかったノ」旨を報告します。
「知ってる。タイムラインがめっちゃざわついてる…」
すでにスマートフォンで情報は察知済みのようです。
見れば「あすゆり」というカップリング表現も普及済み。
そして「あすゆり」の過去を妄想した二次創作絵もたくさんアップロードされています。
プリキュアファンのみなさん、仕事がはやい。
というか、やはりみなさん、妄想の基本線は、上述したようなセンで共通してますね、概ね。

なので、ワタシも自分の妄想を文字に起こしてみます。

中学1年生になったあすかは同じクラスで知り合った百合子と意気投合。
そしてあすかは百合子に誘われてテニス部に入部することになる。
百合子が誘ってくれたことを嬉しく思っていたあすか。
そうして2人はダブルスを組んで一緒に大会を目指そうと盛り上がる。
ところが当時のテニス部は先輩がヤル気がまったくなくグダグダ。
2人が説得するもラチはあかず……。
それでも2人は熱意を持ってテニスに取り組んでいたが、2年生の秋、突然あすかになんの相談もなく百合子が生徒会に立候補するためにと部活を辞めてしまう。
取り残されたあすかは裏切られた気分になってしまう。
しかしじつは百合子も、あすかへの複雑な思いを抱いていたのであった。

「………とか、どうかな?」
「部活、やる気ある1年生と、グタグタの上級生、って『響け!ユーフォニアム』からのパクりやん。一方が突然退部しちゃうとことかも」
「(バレたか;)」

いゃもうこの際なので、こんな感じの「あすゆり」メインのスピンオフ、大人向け劇場版アニメ『フラミンゴと白い鳥』が制作されてもイイのですよ、東映アニメーションさま?


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冗談はさておき、この滝沢あすか×白鳥百合子の因縁、翌週くらいには解決するのかと思いきや、なんと終盤まで引っ張られ、1年かけてちょっとずつ進んでいく形に。

なので、生徒会室で頑なにあすかと目を合わせようとしない百合子会長とか、ことあるごとにトロピカる部を敵視する百合子会長とか、そのあたりも、順次ていねいに描かれていくことになりました。
百合子会長、あすか先輩とは因縁があるものの、根は悪い人ではなく、生徒会長としての責務に真摯に向き合っていることがわかる描写も。

あと、修学旅行先に敵モンスターが来襲した回では、非常事態ということで、期せずして2人が協力して避難誘導などの対処をおこなったのですが、その際、本人たちも無意識のうちに「あすか」「百合子」と名前呼びになっていた(「戻って」いた)のは、なかなか尊かったですね。
普段はあんなに、ずっとツンケンしているのにノ

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で、まぁそんなわけなので、終盤までには、2人の間に何があったのかの真相も視聴者に明かされます。
ネタバレも考慮してそのあたりの詳述はここではしないでおきますが、テニス部でダブルスを組んでいた……あたりは事前に推量されていたとおりでしたし、トラブルの原因もまたあすか先輩の持ち前の正義感が発端だったり。
互いが互いのことを大切に思っての選択が、皮肉にも溝を深めてしまったという点も然り。

そうして、紆余曲折を経て、ようやく2人は和解。
無事に見事「あすか」「百合子」と呼び合う仲に戻ります。
並んで座って柔らかい表情で言葉を交わす2人からは、また新たな「夫婦感」が醸し出されるのでした。
めでたしめでたし。

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と、いうわけなのですが、さて、この「滝沢あすか×白鳥百合子」をめぐって展開されたプロット。
大枠としては「女子の仲たがい」に分類できるのかもしれません。

そしてその題材。
近年のフィクション作品、特にここ10年余りの日本のアニメ作品にあっては、だいたいこんな感じになっているのではないでしょうか。

だから『トロピカル~ジュ!プリキュア』での「あすゆり」は、その蓄積の果てに、前例の数々を活かしブラッシュアップして形にした最新の「令和クォリティ」だとも言えます。

思い返せば昭和のいにしえ、例えば小学館の学年誌に掲載されていた少女マンガだと、もうちょっと違っていました。
つまり、思い切り要約するなら、プリマドンナをめざす薄幸の主人公がトゥシューズに画鋲を入れられたりするアレですね。
そしてそこにある妬み、嫉み、僻み………。
男性への恋愛感情が絡んで、さらにそれにブーストがかかったりも;

そうした作劇が、たまたまそういう作品が掲載されがちだったのか、それとも往時の主流だったのか。
そこは精査を要するところではあります。

ともあれ、そうした描写が「女の友情は脆い」「女子の人間関係は陰湿」というような、偏ったステレオタイプを醸成してしまったというのもあるのではないでしょうか。

特に、男性社会においていまだにそういうイメージが強固な年代はありそうですが、その一因に、この昭和のいにしえに「小学館の学年誌に掲載されていた少女マンガ」における「女子の仲たがい」のパターンがあったのでは!? と、近年のワタシは仮説を立てていたりもします。

小学館の学年誌は、世の大半の雑誌が男女別にマーケティングされている中で、男女両方を対象に編集~販売されるという稀有な存在でしたから、掲載されるマンガ作品を含めて、読者各々が自身のものではないほうのジェンダー属性向けの情報に触れることができる貴重な機会でもあったことでしょう。
そうした機会は上手く活用すれば、人が男女で分断されている状況に対して、相互理解の推進などの効果を上げることも可能だったはずです。

ただ、奇しくも、掲載されていた少女マンガの描写が男の子読者に対して誤った認識を植え付けてしまうという副作用もあったのだとしたら、功罪相半ばしていたとも言えてきます。

いずれにせよ、発端は何であれ、「女の友情は脆い」「女子の人間関係は陰湿」という誤ったイメージが強固だった弊害は甚大だったことでしょう。
そのステレオタイプに従ったストーリー展開が新たなマンガその他のフィクション作品に取り入れられ、イメージが強化再生産されてしまうというサイクルも見逃せません。

じつはプリキュアシリーズの中でも、ワタシが『スイートプリキュア♪』をイマイチ苦手なのは、そのせいかもしれません。

あくまでも「個人の感想です」ですが、『スイートプリキュア♪』では、
「女子の人間関係は陰湿」なので、ささいなきっかけでギスギスするに違いない。
「女の友情は脆い」から、ちょっとしたことですぐ諍うだろう。
……どうも作り手はそんなふうに考えているのではないのかな?? と感じられてしまう展開が頻繁でした。

真相は不明ですが、今どきのプリキュアシリーズでは、それは絶対にやってはいけないことなのは確かです。


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ともあれ、そういう意味でも、「女子の仲たがい」描写がアップデートされてきたことは、好ましい傾向です。

プリキュアシリーズに限らず、プリパラ~プリチャン(などの「プリティシリーズ」。最新作は『ワッチャ プリマジ!』)やアイカツシリーズなど、他の女児向け商業展開で制作される作品群も、だいたい足並みは揃っている感じです。

深夜アニメにあっても傾向は同様です。
特に日常系と呼ばれるジャンルだと、女の子どうしが仲良くキャッハウフフしているのが定番ですが、それを多くの男性ファンが微笑ましく視聴しているという状況は、このように見てくると「隔世の感があります」とコメントしないわけにはいかないのではないですか?
もしもここから目を背けてこの事実をうっかり高く評価し損ねている「フェミニスト」がいたとしたら、それは大いなる損失であると言わざるを得ないでしょう。

◎ここまで言いそびれてきましたが、『トロピカル~ジュ!プリキュア』で主人公たちが創設した部活動「トロピカる部」、その活動内容はというと「今いちばん大事なことをする」部ということで、現実的な常識に照らして判断すると、なんだかよくわからない部活なわけです(作中で白鳥百合子生徒会長が申請を却下しようとしたのも、その意味では真っ当な判断でしょう)。
しかしこれも近年のアニメ作品をふり返ると珍しくなかったりします。
日常系アニメの代表格のひとつ『ゆるゆり』での「ごらく部」などは、廃部になった茶道部の部室を占拠して主人公らがまったり過ごすだけが活動だったりという典型例ですね。
あるいはプリキュアと同様に少女たちが変身して敵と戦うジャンルでも、筆者がちょうど昨秋に聖地巡礼の機会を得た『結城友奈は勇者である』における、主人公らの平常時における部活は「みんなのためになることを勇んで実行する」が活動内容である「勇者部」だったりします(じつはキュアコーラル/涼村さんご役を担当した声優の花守ゆみりは、この勇者部にも深く関わりがあると言えます)。
ロボットアニメながらプリキュア的なコンセプトが濃厚だった『輪廻のラグランジェ』における「ジャージ部」もほぼほぼ似たような存在で、他の部活の助っ人はもとより、地元地域で依頼に応じてボランティア活動的なことに勤しむ部活でした(キュアフラミンゴ/滝沢あすか役の声優・瀬戸麻沙美は、ズバリこちらではジャージ部部員のひとりという主要キャラを演じています)。
そして、これらの「主人公らが何やらよくわからない部を作って活動する」という設定の系譜をたどっていくと、ひとつ行き当たる重要な前例が『赤毛のアン』の物語部(「物語クラブ」の表記のほうが正式っぽいですが)なのではないでしょうか。
→ 赤毛のアンは早すぎた日常系百合アニメ
  https://stream-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/2014-08-01_AnneLily
  → 続・赤毛のアンは早すぎた日常系百合アニメ
  https://stream-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/2014-08-02_AnneLily-2
 …などもコレを踏まえて今一度 読み直してみるとよいかもしれません)
今日のさまざまなアニメ作品群に散らばるエッセンスに、じつは『赤毛のアン』のエートスがあるというのは、思いのほか意義深い見逃してはならないポイントかもしれません。
◇◇

そして、こうした文脈を経ると、やはり大きなエポックのひとつとして無視できないのが、そう、『響け!ユーフォニアム』シリーズですね。
武田綾乃による秀逸な原作小説と、そのポテンシャルを京都アニメーションが120%引き出して映像化されたアニメ版。
これが界隈に与えた影響は絶大でしょう。

あれだけ高校の吹奏楽部の活動をめぐって「女子の仲たがい」因子が満載で、妬み嫉み僻みも渦巻いていないわけではないのに、旧来の定石に回収されることなく、それらとキッチリ一線を画した仕上がりに落とし込んでいる、その技はまさに新時代を拓く感性の発露でした。

そのあたりは、アニメ1期の際にも、このブログの記事にしたのですが、そのときの「ある種のスポ根モノなのに、むしろプリキュアシリーズに近い」という論理展開を今ここで読み返すと、そんな『響け!ユーフォニアム』が、1周まわって今般『トロピカル~ジュ!プリキュア』というプリキュアシリーズに還流してきた、とも解せて、なかなかいみじくもありますね。

  → 響けユーフォニアムがエースをねらえよりむしろプリキュアに似てる件!?
  https://stream-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/2015-07-09_eupho2015-eA
◇◇

と、いうような感じで『トロピカル~ジュ!プリキュア』、いろいろ言及ポイントがありましたが、総じて明るく楽しく、2021年度の私たちに力をくれるアニメだったことは疑いありません。

今年度はこの記事なども、ある種の濃い観点に絞って書いていますので、他にもいろいろ言うべき点を省いているのはご容赦いただくしかないのですが、そのあたり例によって(前記事と同様)kasumi さんによる[ねとらぼエンタ]での連載記事のほうなどをゼヒご覧ください。

  →“絶対悪”を描かなかった「トロピカル~ジュ!プリキュア」は1年間、何と戦ってきたのか?
 [サラリーマン、プリキュアを語る/ねとらぼエンタ]
  https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2201/27/news037.html
◇◇

個人的には最終回の、トロピカる部による演劇をめぐる展開とか泣けましたし、ラストの「そー来るかぁ!」というのも好きですね。

あと、まなつとさんごの担任[桜川 咲]先生は、もしや中盤でプリキュアになるのでは? と追加戦士候補の1人として目をつけていたりもしました。
全体として「季節は夏」を推してる中であえての「春」をモチーフにしたキュアプランタンとかイイじゃないですかノ
白鳥百合子さんのプリキュア化と同様に叶いませんでしたが;
(てゆかオープニングのタイトルバックで2人が意味深に並んで踊ってたりもしたのです)

それから、水族館の館長さんの過去も気になるところではありました。

……話はつきませんが、ともかくやっぱり、ありがとう、トロピカル~ジュプリキュア! ですね。
次回作『デリシャスパーティ プリキュア』も楽しみです。

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