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「LGBT」など性的少数者の人権、セクシュアリティの多様性、クィア論、男女共同参画などや、そうした観点に引きつけてのコミュニケーション論、メディア論、「アニメとジェンダー」など、ご要望に合わせて対応いたします。※これまでの実績などはお知らせブログにて

「性別はサンタクロース」最新バージョン [多様なセクシュアリティ]

お知らせブログのほうではすでにご案内済みなとおり、長年にわたって執筆が難渋していたワタクシ佐倉智美の新刊が、去る9月、性別解体新書 ~身体、ジェンダー、好きの多様性』として、ついに上梓の運びとなりました。

詳細はこちらの記事にあるとおりです。

 →『性別解体新書』2021年刊行
  https://est-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/auth_RestrD-2021

皆さまゼヒ手にとってみてください。
…さぁ! 解体ショーのはじまりだ!!

 


とはいえ、執筆が長引いた分、無駄に大作になってしまったというきらいもなきにしもあらず;

じつは著者の手元での完成原稿では、実際に本になった以上の分量があったというのも知られざる事実です。
すなわち、編集段階で泣く泣く削った小ネタなども多数。

そのうちのひとつに標題の「性別はサンタクロース」もあるのです。

「性別はサンタクロース」の趣旨については、すでに2006年にこのブログで紹介していなくもありません。

 → ★性別はサンタクロース
  https://stream-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/2006-12-26
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 BL211227_SantaGender.png
 (画像はイメージです。出典:いらすとや)◇◇

このあたりを元に、執筆をつうじた各種の研究考察を経てブラッシュアップした最新テキストが、つまり、じつはひそかに存在するのですね。

というわけで、西暦2021年のクリスマスも過ぎたことですし、この際、ソレをここで大公開しちゃうことにします。


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性別はサンタクロース

実際には具体的な存在としては虚構であるのに、実在するという前提に合わせてみんなが言動を調整したために、あたかも本当に存在しているかのような社会的効力が発生する、という意味では、性別はサンタクロースと似ている。そう、クリスマスイブにやってくるというあれである。
多くの人々がサンタクロースが本当にいるという前提にコミットしたふるまいを行為する結果、仮にサンタクロースが実在しなくても、実在の根拠がたとえ疑わしくても、そのことは問題とならなくなる。多くの人々がサンタの存在を前提として共有して行動する、それこそがサンタが実在するという事実そのものになるわけだし、そのようにふるまうことが結果的にサンタクロースの存在に社会的実効性を生じせしめることになるわけだ。
そして「性別」もそれと同じなのだ。
「性別はサンタクロース」などと聞くと、ついあの松任谷由実の名曲の節で替え歌を歌いたくなるかもしれないが、これはあながちネタに終わらない、重要な理解なのではないだろうか。
なお、大人による子どもたちに対する「良い子にしてないとサンタさん来ないヨ」というような物言いは、「男の子がそんなんじゃ笑われるよ」や「女の子らしくしてないとお嫁に行けないヨ」等々と、もちろん基本的にも極めて近接した軸線上にある。
そしてこれらは、そもそも架空の設定に基づいて語られる内容が、語られることで実効性を与えられるという点でも共通している。これを見ても、やはり「性別はサンタクロース」なのではないだろうか。
(佐倉智美)

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ちなみに、これだけ読むと前後の文脈がわからないというか、前後で説明されている知見が省かれている感がモヤる、とかがあるやもしれません。

その場合は『性別解体新書』と合わせてお読みいただき、第4章の第2節、250ページのあたりに挟まる話だと思っていただけると幸いです。


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