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大津波と原子力災害に 情報を正しく [経済・政治・国際]

先日[佐倉智美さん、トイレの神様のソコはスルーしていた!]で書いたように、アクセス解析によると、このブログの検索ワードとして、従前から『宇宙戦士バルディオス』関連のものが、思いのほか多数を占めていたのですが、これがまた先週末あたりから、なぜかその数量が急上昇しています。
そう、つまり、11日の東日本大震災の起きた後から――。

いゃ、たしかに『宇宙戦士バルディオス』の名目上の最終回のラストは、[宇宙戦士バルディオスは なぜ明日を救えなかったのか?]で述べたとおり、敵の攻撃で南極の氷が融け、そのために押し寄せた巨大津波に世界中が飲み込まれるシーンで終わるのです。
したがって、大津波つながりということで、連想が働いて、そうした検索数増加につながっているのではないかという推理はむろん可能です。

しかも、その『バルディオス』、じつは、もし放映が打ち切りにならなかったら続いていたはずの“名目上の最終回”以降の回の筋立てにおいては、原子力施設が損壊して放射性物質が漏れ出す……という展開も用意されていたらしいのです。


…………(~_~;)


――シャレになってない!!


ということで、現実の災害、およびそれにともなう進行中の危機に対して、昔のアニメの内容を思い出し、あまつさえインターネットを検索するという行為に出る者を「不謹慎だ」みたいに責めることは簡単です。

しかしながら、福島原発の現状がどうなっているのか、放射能の具合は、今後の見通しがどうなのか、などについて、十分な、かつ正確な情報が提供されているとも、残念ながら言えません。

そんな中では、多くの人が、ネット上で思いつく限りの検索キーワードを駆使してしまうようなことも、いわば必然的なことでしょう。


その意味では、当局によるキチンとした情報開示が、切に望まれます。

もちろん、やたらと不安を煽ることのないような提示の仕方の工夫はあってもよいですが、基本は、包み隠さず報告する・逐一報告する、なのではないでしょうか。

これがないことが、むしろパニックやデマの誘因にもなり得ます。


逆に、私たちは、公式発表の内容は何割引きかになっているという懐疑を持ちながらも、焦らず冷静に判断し、落ち着いて行動することが、自分自身を守ることにつながるのではないでしょうか。

 


◎【元東芝原発設計者の後藤氏が外国特派員協会で会見】で検索すると、かなり赤裸々な内容が語られているようです(2011-03-16現在)

◎その他、今般の震災関連での各種情報サイトはいろいろあるでしょうが、こちらのサイトでは、なかなかツボをこころえたリンクが記されています
http://ameblo.jp/miracle-dosukoi/entry-10832310623.html

◎上記のサイトでも紹介されていますが、「うんち・おならで例える原発解説」は、なかなか有益と思われます
http://togetter.com/li/111871

◎言うまでもないですが、いわゆる義援金詐欺をはじめ、誤情報のチェーンメール等にじゅうぶん注意し、正誤の判断に迷うようなケースでは複数の情報源で裏付けを取るなどするとよいかもしれません


 


大災害と非常時弱者 [経済・政治・国際]

11日に発生した東北沖を震源とする地震(「東北地方太平洋沖地震」?)による今回の一連の災害(「東日本大震災」?「東北関東大震災」?)、しだいに状況が明らかになればなるほど、その被害の大きさが想像を超え、報道される惨状には絶句するよりほかありません。

かの阪神大震災も、たしかに激甚な惨禍をもたらした事象でしたが、今回は、それ以上に、その被害地域の範囲が広範にわたり、また地震そのものの他に津波など複合的な要因がからんでいることで、よりいっそう深刻な状況がもたらされているのが、困難を極めているかもしれません。

現在の私にできることは誠に限られていますが、被災の皆様には衷心よりお見舞い申し上げます。
また救助・救援にあたる方々のご安全等々も切にお祈り申し上げます。


そのうえで、報道から知りうる限りの範囲において、若干気になる点を申しますと、やはり、こうした非常事態という非日常において、弱者となってしまう人たちに対しての配慮は、はたしてどのくらいおこなわれているのだろうか? …ということがあります。

お年寄りや、持病のある人、乳幼児連れの方――。
はたして常備薬や、粉ミルク、紙オムツなどが、救援物資としての必要性を俎上に乗せられているのかが心配です。

また外国人住民などのケースでは、言葉や文化ギャップの壁が例えば避難案内などの情報提供や避難所生活の妨げになって、結果として孤立化してしまう懸念も、平常時には語られるものの、こうしたいざという際に、どの程度対応できるのかには不安があると言わざるをえないでしょう。

その他、各種の障害者もですし、例えば食物アレルギーを持つ人への配慮をギリギリの状況下での炊き出しにおいておこなうのが現実として難しいのは想像に難くありません。

もちろん実際の現場では、実状と折り合いの付けられる範囲で、可能な対処をするしかないのは理解できます。
しかし、そうしたマイノリティであるがゆえに「非常時弱者」となってしまうかもしれない人々の存在を、少なくとも念頭には置いておくことは、大切であろうかと考えられます。
“屈強な男性”の基準だけで物事が進められてしまうことは、むしろ非常時であらばこそ、好ましくないかもしれない――
そのように多くの人が認識することから、より多くの人が救われるのではないでしょうか。


そして、かような「非常時弱者」となってしまうマイノリティとしては、当然トランスジェンダーも含まれることになります。

本人の状況、地域でのカミングアウト具合などによって、直面する個別の問題のディティールは異なるにせよ、避難所生活は、どうしても便宜的に男女二元的に仕切られるでしょうから、その居心地がよろしくないのは必定です。

通常はフルタイムでトランジションをおこない、周囲からその性別で認識されているケースでは、避難所生活においてはそれが維持できなくなって(例えばMtFではヒゲが伸びてくるとか)、元の性別が知れてしまうことをめぐるトラブルもあり得ます。

また、避難所での共同生活における役割配分なども、単純に男女で区分されがちなのではないでしょうか?
(力仕事のときに「男性の方、お手伝いお願いします」など)
これは、トランジションを進めておらずカミングアウトもしていないようなセクシュアルマイノリティにとっては、さりげなくストレスが積み重なる場面です。

(このほか、同性愛カップルが「家族」として扱ってもらえない問題などもあります)

◎「トランスジェンダー」(←いわゆる「性同一性障害」)などセクシュアルマイノリティ(…と原則ほぼ同意で「LGBT…」などとも)をめぐる基本は、さしあたりこちらで
 [セクシュアルマイノリティの基礎知識
 [「性別」とセクシュアリティの多様性


くり返しになりますが、個々の現場での対応は、そこでの現状とのすり合わせた結果に応じたものにならざるを得ないのは現実でしょう。
しかし、はじめから考えに入っていないのと、配慮すべき事柄として検討はしたもののやむをえずあえて外すのとでは、やはり大きく違います。

「非常時弱者」となってしまうマイノリティの存在を念頭に置くということを、できるかぎり意識されるよう、望まれるところです。


(2011/03/16)
マヨさんからのコメント中のリンク先にあるように、この問題についての取り組みが多少なりともおこなわれていますが、なかなか大きな動きとはしがたい現実もあるでしょう。
いずれにせよ、非常時であるだけに、普段以上に、お互いの多様性を認め、思いやり譲り合いで、個別の問題に対処することが肝要かと思います。
あるいは、それに反するようなおこないを排するような雰囲気を、現場に醸成することも期すべきことではないでしょうか。
あと「心配して避難所にたずねてくる実家の親が、当人の性別移行名前を変えている事実を知らない」というようなことに起因するトラブルも、セクシュアルマイノリティの問題に特有の事象かもしれません。

親にこそ、もっともカミングアウトしにくいという構造は、セクシュアルマイノリティにはありがちで、この点が民族的なマイノリティなどと大きく異なるポイント


 

 


ゴーカイジャー第4話・ゴーカイブルーは豪快なパ◯◯◯◯だった!? [メディア・家族・教育等とジェンダー]

本日の『海賊戦隊ゴーカイジャー』、第4話のオンエアだったのですが、今回の「敵の怪人」が剣の達人ということで、同じくゴーカイジャー側では最も剣の腕に覚えのあるブルーとの対決を主軸に物語が展開するお話でした。

◎まだ第4話だったとは思えぬ作品世界の求心力おそるべし!
◎というわけでこの海賊団のブルー[ジョー・ギブケン]、麦わらの一味で言うとゾロですかぁ。ってか、かように『ワンピース』とつい較べてしまうあたり、東映グループの思惑にまんまと……(^^)


で、この敵の剣士、どのくらいの腕前かを、敵の幹部たちの前で披露するにあたっておこなったデモンストレーションが、りんごを1個、あっと言う間に切り刻んで、あろうことか、カワイイうさぎ切りに!!(^^ゞ
いゃ、キミたちは、物語の設定上は宇宙帝国軍で官軍かもしれないケド、テレビを見ている子どもたちにとっては悪者なんだから、もーちょっと過激なことしてもイイのでは??
むー、たぶんこの剣士の出身星では、きっとずいぶん前から、家庭科が男女共修なんでしょうなぁ(^o^;)。


一方の、ゴーカイジャーの面々、5人の中では料理担当なのは、いわゆるところの女性陣ではなくて男性のグリーンであることが、今回初描写。
グリーンは通称[ハカセ]で、メカや情報処理も担当なのに、料理の腕前もバッチリですか!

ただ、そこまでなら、ポケモンの例もあるし、戦隊シリーズの中でも『ゴーオンジャー』で同様の事例が描かれていたので(でもって『ワンピース』でも…だ)、あらためて特筆することでもないのです。


ところが、今回の戦いが終わって、一同がやれやれとくつろぐタイミングになって、「今日は世話になった」と、ブルーがみんなにふるまったのは、なんと…

 

  手作りのケーキ

(゜レ゜)!!

えぇーっ!
グリーンは「料理」担当で、「デザート」の担当はブルーっスか!?

………この合わせ技には、ちょっと意表を突かれました(^^)。

このオチがあればこそ、ブルーが冒頭で「荷物を持つのは男の役目」みたいな妙にジェンダラスなセリフを口にするのも、敵の必殺剣を破るためにやたら少年マンガっぽい汗臭い特訓にいそしむのも、ある種の伏線として生きてくるわけですナ。

いや~、豪快なパイレーツにしてパティシエって、そりゃヤバいくらいスゴいっしょ!

てゆーか、スゴすぎて、先週の『スイートプリキュア』(やはりケーキ作りをめぐるエピソードだったんですケド)が、このお話の引き立て役にしか見えなくなってきたり(^_^;)


というわけで、やっぱり宇宙帝国とその周辺星域では、ずいぶん前から家庭科が男女共修だったみたいです。


もちろん地球でも(日本でも)もう家庭科の男女共修が実施されて十数年が経過していますけどねネ。
だから、言ってみれば、ゴーカイジャーのようなヒーロー役を演じる役者さんの年代だと、これはもうとっくに家庭科男女共修世代なので、このような役柄の設定自体、画期的とかいうよりは、むしろあたりまえで自然なことなのでしょうね。

 

◎余談ながら、本日の第4話では女性2人どうしの百合萌えシーンもあって、なかなか美味しかったです(*^_^*)


 


 
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