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「LGBT」など性的少数者の人権、セクシュアリティの多様性、クィア論、男女共同参画などや、そうした観点に引きつけてのコミュニケーション論、メディア論、「アニメとジェンダー」など、ご要望に合わせて対応いたします。※これまでの実績などはお知らせブログにて

女性用トイレを使える人が女性なのである [多様なセクシュアリティ]

「またまた登場失礼します。佐倉智美 著・小説『1999年の子どもたち』登場人物の栗林理素奈です」

「どーも(ペコリ)、同じく『1999年の子どもたち』の外伝パートの登場人物、風屋光です」

「はじめまして。同じく『1999年の子どもたち』外伝パートの登場人物、園田梓です。ガッツリ登場してリソナちゃんと絡むのは《外伝3・理素奈編》だけど、4巻の本編中のミサキちゃんの中学時代の回想シーンにも出てきます。よろしくお願いします」

「……今日はミズホちゃんは風邪で来れないんだねー。後期試験・レポートも一段落したところとはいえ、大丈夫かな。後でメッセージ送ってみようね。インフルエンザも流行ってるし読者の皆様も時節柄ウイルスには気をつけてくださ~いノ」

「ということで私たち、六麓女子大学の学生になって、外伝3の舞台となる西暦2019年12月がリアルに近づいてきたということで、去年あたりからまたぞろこの形式で作者のブログ記事に出演させられてるんだけど……




……このところツイッターとかで、トランスジェンダー女性が女性用トイレを使用することなどに対する否定的な意見が一部で興隆してて、そのせいで作者の界隈とかではいろいろ対応にも追われてるらしいの」

「………………」

「えぇーと、外伝3の作中での現時点では私たちまだ知り合ってないうえにヒカリちゃんの秘密も把握してないんだけど、ソコはネタバレでいいのよね? …その~私も中学生のときとかはそういうことよくわからずに世間にある偏見をそのまま信じ込んでたりしたけど、今どきは《LGBT》のことって、もう一般常識じゃん。そんな差別的な考えは古いと思うナ」

「……ありがとう、アヅサちゃん」

「うぅん。私ももっと早くこういう考えに至れてたらよかった………」

「……ただ、そうした反対意見の中には、公衆トイレをはじめ、公衆浴場とか更衣室、あるいは電車の女性専用車両など、女性専用とされるスペースに何らかの《男性要素》を持つ人が入り込むことへの不安に立脚したものもあって、いわゆる性犯罪の被害者のトラウマなどを考慮すると、単純に一蹴できない部分もあるらしいのね」

「まぁたしかに私だって誰もいないトイレで、もし今ここで暴漢に襲われたら……って不安になることはあるかな。だいたい男性で生きてたら、そう感じる機会ってなかなかないのに」

「だよねー; そんな暴漢・痴漢が自分は性自認が女性なのでって言い訳をしたら困るという意見もあるのは、さすがにトランスジェンダーのことをイメージだけで語っていて現実的ではないとはいえ」

「そもそも、安全な施設の設計~運用をどうするかと、トランスジェンダーを社会でいかに受容し包摂するかっての、キホン的に別問題でしょう!? スケープゴートとしてLGBTを排除して、ソレで自分たちだけが安全な気になれればイイって考えは愚かよ」

「さすがアヅサちゃん、シャープな意見ね」

「もっと言えば性犯罪被害のリスクは、むしろどこにでもある。その抜本解決のためは社会全体が変わっていかないといけないし、その方向性は正確で幅広く偏らない性教育に立脚した、男女間の関係性ルールの改善であって、いわば性の多様性を前提にすることと通底してるんじゃないかな」

「う゛~む、話が早い (^o^)ノ」

「それにね、結局は《女性》とか《男性》とかって、その場で周りの人からどう判断されるかがすべてなの。現行社会の現実としては」

「たしかにね。いちいち身体検査を互いにしあいながら日々の日常生活をおこなってるわけじゃナイんだから(その「身体」が人間の性別の核心とも限らないし)」

「だから、女性用トイレに入って何も起らない・支障がないという人は、それは要は周囲からモンダイなしと判定されているということで、つまりそれこそが女性であるということなんだなぁって、経験則として実感してる」

「実際、私たちヒカリちゃんとトイレに入って特に違和感ないもんねぇ」

「なるほど。何か女性とはこういうものだという定義が先にあって、そこに合致する人が女性用スペースを使える……んじゃなくて、女性用とされるスペースを使えるという事実が再帰的に女性としての個々人の属性を定義する、かぁ。なかなか社会学的に深いネ」

「むろんだからこそトランスジェンダーにとっては《パス》が重要になってしまっている現実があるし、いわゆるノンパスの苦労とかはいろいろ……」

「すべてに先立って相手を《女》か《男》かで仕分けようとしてしまう現行社会の私たちの習慣、根が深いよ…」

「そういえば六麓大学に行ってる先輩が【「性自認」というものもじつは便宜的なもので、本人が自分らしいと思う自己表現・ふるまい等の表出が周囲から現行社会の解釈コードに従って女/男と判断されるのが「性別」の実態で、そうした周囲からの判断を本人がそれまでの実績から予測的に認識してるのが「性自認」と言われてるにすぎない……みたいなことを先週のジェンダー論の授業で習った】って言ってたナ」

「自分で自分のことを男だと思うか女だと思うのか、それもべつに二択で最初に決めないといけないわけぢゃナイもんねぇ。………ってか、その授業の担当の先生って、もしや作者なのでは!?」

「あと【つまるところ《男》や《女》とは「である」ものなんじゃなくて「をする」ものなんだ……という話も印象深かった】らしいよ。それから、授業の最初にアニメを抜粋した動画とか見せられたらしい。プリパなんとか…」

「……やっぱり作者だ;」

「(男や女は「する」ものだってのは、ジュディス・バトラーのジェンダーの行為遂行性のハナシかな。その前のは佐倉先生が相互行為論などを下敷きに主張してる「性他認」だ…)」

「そういえば作者からはこの件については何か公式声明とか出てないの??」

「キッチリした文章が仕上がらないから、代わりに私たちがこうやって出張らされてるというのが実態みたい; さしあたり20年前に書いたやつがすでに、おおむね昨今の論争でポイントになってるところを網羅してはいるらしいんだけど……



………こうして読んでみると作者の筆致も、この頃はなかなか素直ねぇ」

「短くまとまってるのは良いとして、言い回しがシンプルなのは読みやすい半面《穴が多い》こととトレードオフなんだけどね; むむむ、佐倉先生にも歴史アリ」

「あとツイッターとかでは、こんな感じで……



……いくつか発言してるよね」

「コレとかも……



……参考になる度、高いんじゃないかな」

「あとリアル満咲ちゃんが、やっぱイイこと言ってるみたい。やはり作者がツイッターで……



……紹介してる」

「おぉ~、ミサキちゃん(のモデルとも言えるリアル満咲ちゃん)の真骨頂爆裂!」

「というわけで、ミサキちゃんが私たちがどこかで出会ってた共通の知人ということが12月になると判明する2019年にいよいよなったという今日このごろ、性の多様性をより多くの人が共有して、みんながより生きやすくなるように、私たちも気合い入れていきましょうノ」

「あっ、あと作者界隈では[ #トランスジェンダーとともに ][ #ともにあるためのフェミニズム ]みたいな共通ハッシュタグを作って、いろんな人がいろんなところで言論活動する動きもあるようです。興味のある方は見かけたらご一読ください」

「作者のもうちょっとガチな論考が、こういうタグで紐づけされてるところ、できたら早めに読みたいね」

「…その日を期待しつつ、それではまた~」


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