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[3:データ専用simスマホで音声通話]格安スマホ時代のケータイ代節約術 [経済・政治・国際]

さて、前々記事前記事でお話ししてきた、ガラケーと格安スマホの「2台持ち」体制。
最後はその体制を補強する、音声通話非対応simを挿したスマホで音声通話をする方法についてです。

前記事のとおり、docomoキッズケータイは優秀な端末ですが、ハードウェアテンキーがないので通話中のプッシュトーン信号送出ができないという問題がありました。
企業のコールセンターのような通話先にかけたときの最初の用件選択のために番号をプッシュさせられるシチュエーションには、どうやって対処すればよいでしょうか。

誰でも思いつく方法としては、普段はキッズケータイに挿しているドコモとの正式契約したsimカードを、そのときだけスマホのほうに使えばよいのでは? …というものがあります。
これは、いちいち両端末の電源を切り背面のカバーを開けてけっこう繊細な手作業をするという面倒さえ厭わなければ、いちおうは理に適った解決策に思えます。スマホの端末もドコモのものなら、これでフツーに稼働してしかるべきです。
ただこの方法、ドコモ側の設定で、ガラケー契約の3G通信(FOMA契約)のsimカードだとLTE対応のスマートフォン端末に挿した際は一切の通信が拒否されているので、じつは使えません(画面の電波表示は圏外になる)
たしかにLTE対応のスマートフォンで使える正規の(Xi契約)料金を払わずに割安なガラケー料金で契約した客に後からsimカードを別途用意したスマートフォンに勝手に移し替えられて使用されてはドコモとしては商売上がったりですし、3GとLTEでは技術的な規格が異なるというのも理解できます。
とはいえ、データ通信ができないのはいたしかたないにしても、いざというときの音声通話までいっしょくたに一切の通信を切断する措置は正直なところいただけません。せめて災害時などには、この措置を解除してもらえるとイイのですけどねー、docomoさん。

(2018/01/15)
こうしたケースのプッシュトーン送出については、スマホの電話アプリのキーパッドを操作してスピーカーから出てくる音をキッズケータイのマイクで拾って送る……という荒ワザもあるようです。
その他、先月のツイッターで話題にしたあたりは本記事の補足になるでしょう。


……そんなわけで、simカードは入れ替えたりせず、なんとか音声通話非対応・データ専用simを入れたスマートフォン端末で音声通話をおこなう方法を探すしかないことになりました。

しかし、そんな字面的には不可能性の高そうなことを可能にするサービスは、意外にもこともなげにすでに提供済みでした。

それがつまり、いわゆるIP電話
インターネット回線のデータ通信として音声通話のほうも扱ってしまうサービスは、かねてより固定電話では普及してきていましたが、昨今はモバイル端末向けにも複数の業者から供用されており、その対応スマートフォンアプリもいくつも提供されています。

GoogleのハングアウトならAndroidスマホにはあらかじめ入っている場合も多いのではないでしょうか。

あるいは、平均的な日本のスマホユーザーであれば、かの「LINE」の音声通話機能が使い勝手がよいという説も有力です。

LINEの音声通話機能はLINEでの知り合い(「友だち」)ならチャットとシームレスな操作で無料で利用できますが、そうでなくても相手先の電話番号宛にごく標準的な電話をかける操作で安価に発信できます。
料金支払いには「スタンプ」を購入したりするのにも使えるLINEのコインを共用することが可能なのも利便性が高いです。

また、この場合の相手先への発信元番号通知は、LINEアカウント取得時に認証をおこなった携帯電話番号とLINEをインストールしたスマホに挿したsimカードの番号が一致している場合なら、その番号になります(悪く言えば技術的には一種の番号偽装なので、ドコモの携帯端末など一部の相手先のセキュリティ対策の仕様によっては通知不可能)

◎格安simでLINEを利用する場合、大手キャリアとは直接の契約がないので「年齢認証」が受けられないというデメリットがあります。
以前に大手キャリアでスマホ利用していた際に認証済みのLINEアカウントを移行すれば、LINE登録の電話番号は変わりませんが、その場合はsimの番号と不一致なため上述の番号通知は非通知になります。
端末のsim番号を通知させるなら、電話番号の設定を再度おこなうことになりますが、その番号では「年齢認証」をしないまま使うことになります。


ただ、手軽で便利なLINEアプリの音声通話機能ですが、固有の電話番号を伴っているわけではないので、ソコへかけてもらうという使い方はできません。
またフリーダイヤルなどへも発信ができません。

※IP電話全般に言えることとして、110番や119番などの緊急通報も含めて、各種の特殊な電話番号にはかけられないという制約があるのが通例です。
あとインターネット回線の速度に応じて、音声の到達に若干の遅延があるのも留意しておく必要があります(うっかりすると、テレビの報道番組で時折見かける、衛星生中継の現地レポーターと東京のスタジオのキャスターとの会話のタイミングのズレのようなことを自ら体験するハメになります)

LINEアプリの設計思想としては「2台持ち」を想定していないようで、音声通話機能も電話代の節約が主眼なようです。したがってフリーダイヤルなら通常回線からかければいいじゃんという理屈で対応していないようです。

……で、となると当記事冒頭の、通話中のプッシュトーン信号送出ができないdocomoキッズケータイの問題をスマホのほうでフォローするという目的は、企業のコールセンターなどはフリーダイヤルなどが多いことに鑑みると、LINEアプリでは果たせないことになってしまいます。

いゃはや、なかなか「おカネをかけずに、コレひとつでOK!」というものは難しいのかもしれません。何事にも一長一短はあるものです。
なんとかフリーダイヤルなどにも通話可能なスマートフォン向けIP電話サービスはないものでしょうか。

そうして、これまたいろいろ探した結果、これならイケそうというサービスがありました。

ひとつはこちら。

「050 plus」
http://050plus.com/

 BL151212_06-050plus.JPG
 (画像は公式サイトからキャプチャ)

原則としてフリーダイヤルでも大丈夫
またNTT系列という安心感もあります。
アプリの使い勝手もまずまずの評価でしょう。
しかも、050で始まる専用のIP電話番号をひとつ発行してもらえるのも嬉しい。

ただ、月額基本料金が320円ほどかかるのは、安さを求めて「2台持ち」にたどり着いたユーザーを逡巡させるにじゅうぶんな難点ではあります。

たまにフリーダイヤルにかけるためだけになら、毎月その金額を払う合理性はどうしても乏しくなります。

なんとかならないものでしょうか。
(格安simが同じNTT系のOCNモバイルならセット割引も効くようですが)

……そこで、もうひとつ、

「ブラステル」!
http://www.brastel.com/Pages/jpn/home/index.html

 BL151212_07-050free.JPG
 (画像は公式サイトからキャプチャ)

これなら、フリーダイヤルもOKで、専用の050IP電話番号も取得できて、スマホのアプリもまずまずの使い勝手という環境が、月額基本料金ナシで実現します。
事前チャージも500円からでOKと良心的。


というわけで、これらIP電話サービス。実際にアカウントを登録し、アプリをスマホにインストールして設定を済ませると、電話をかけるのも受けるのも、ごくあたりまえにできました。

なんのことはない。
データ通信専用sim(いちおうワタシのはSMSには対応)を挿したスマートフォン端末が、アッサリとフツーに音声通話も可能な多機能携帯電話端末になったわけです。

………もうコレだけでもイイんじゃね??(^^;)


もちろん、上述したように110番や119番などの緊急通報はできないなどの制約はありますから完全な代替にはなりません。

それでも「2台持ち」のスマホ側でも音声通話が可能になり、電話帳も主たる利用場所がスマホ上になった今、スマートフォンの存在感が相対的に増し「2台持ち」の前提となっていた役割分担のバランスが曖昧になった感も出てはくるでしょう。

たまにしかかけないとしても、正規の携帯電話通話料よりも、IP電話からの料金のほうがかなり割安だというのも意外と重要です。

いっそのことドコモを解約しガラケーの番号を音声通話付きの格安simにMNPして端末をスマホ1台にまとめる(料金的にも似たような金額)というのも、この際「2台持ち」のメリットとして挙げたことと引き換えても、じゅうぶんに合理的な選択として浮上してきます。


…でも、ちょっと待った!

いろいろ考慮すると、この2015年現在、大手キャリアとの契約を解除するのは、やはり時期尚早なのではないでしょうか。

理由のひとつはMVNOの信頼性。
新しいビジネスだけに、注目を浴びている今はよいとしても、もしも経営が苦しくなったときの撤退も早いかもしれない危険性はあります。
契約を全面移行した後でそうなったりしたら、二階へ上がってから梯子を外される形になってしまいます。

もうひとつは災害時
大災害などで通信インフラが逼迫したときには、大手キャリアは自社との直接の契約者を優先することはありえます。
そういう場合に、MVNOの格安simしかないと、通信手段がなくなる危険性も考えられなくはないでしょう。

そういうことを勘案すると、やはり大手キャリアとの契約は今しばらくキープしておくのが、この2015年時点では賢明と考えるのが妥当と言えます。

このほか、スマホ端末にドコモのものを使う以上は、不具合時の修理受付などには近所のドコモショップに窓口になってもらうことになりますが、その場合でも、たとえスマホのsimはMVNOのものでも、ガラケーで正規にdocomoのお客様なのであれば、気分的にラクというものです。
その他ドコモショップによる各種のサポートなども受けやすいでしょう。

そういう安定性・安心感が得られるという点では、端末が2台に分かれていて、simの契約もまた2つに分かれてでも、大手キャリアとの契約を今しばらく維持するのは、適性な負担と判断できます。

もちろん最初の記事で述べたような、バックアップとしての2台ある安心感や「スマホで情報を見ながらガラケーで通話」のような使い方の利便も大きいのは変わりません。


そんなこんなで、以上のような点をふまえて、ガラケーと格安スマホ「2台持ち」のコストパフォーマンス、今しばらくこれを享受していくことになりそうです。

たまの連絡にガラケーで通話とSMS、スマホは情報端末としてそれなりに使う……という、私と利用状況が似ている方は、どうぞ参考にしてみてください。

◇◇
-----(2022/05/07)----------
当記事、および関連の前2記事は日付のとおり2015年時点での情勢に基づいた内容となっております。
2022年現在の状況と対照しても、実情にそぐわない点が多々生じてきておりますので、その旨、じゅうぶんにご留意のうえ、参考情報としてご活用ください
(当サイト内いずれのコンテンツについても、そうした点は同様だという方針ではおりますが、ココは特に)。

昨今では「格安sim」についてももはや老舗と呼べる信頼感の業者がありますので、必ずしも大手キャリアとの契約を残しておく必要は乏しいですし、料金面でも、音声通話付きの契約であっても非常にコストパフォーマンスの良い設定に、ますますなってきています。
端末の安定性でも、いわゆるAndroid端末の出始めの頃にしばしば語られたような不安感はもはやないでしょうし、電池の持ちも良くなってきていますから、いざというとき用の予備の通信端末の必要度は漸減の一方です。
これらに鑑みると「2台持ち」の選択肢としての優位性は、かなり下がってきていると言えるでしょう。

----------(2022/05/07)-----
◇◇

 


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