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今そこにあるデートDV [メディア・家族・教育等とジェンダー]

テレビアニメ『しゅごキャラ!』シリーズの主題歌を多数担当しているアイドルユニット[Buono!]の3rdアルバムが出たので聴いてみました。

Buono!【 We are Buono!】
  


『しゅごキャラ』でおなじみの曲もさることながら、アルバムオリジナルの楽曲にもなかなかの名曲が揃っています。

やはり特に、作詞を※岩里祐穂さんが担当している歌に、「おぉーっ、こ、これは!」という名曲の比率が高いですね。


そして今回その中でも特筆すべきは、3曲目!
「Independent Girl ~独立女子であるために 」
と題されたその歌は、なんと社会問題としてデートDVをとりあげているのです。

もともとBuono!の楽曲は『しゅごキャラ』アニメの主題歌が多いせいもあって、内容的にガールズエンパワーソングの比率が高いと言えるのですが、ここまで具体的に踏み込んだものは初めてですし、J-POP全体で考えても、これはかなり画期的かもしれません。

IndependentGirl_page.jpg
    ↑    ↑    ↑
★【 We are Buono ! 】ライナーノーツより★


「デートDV」とは簡単に言えば、特に(冠ナシの「DV」――ドメスティックバイオレンスが結婚後の配偶者間をメインに想定しているのに対して)結婚前の若い年代の恋人どうしの間で見られる支配的で不均衡な人間関係に由来する物理的および心理的暴力のことです。
ズバリ、デートの最中に性的関係を一方的に強要したりすることもそうですが、広く交際全般を通して、相手に対して従属を強いる態度がすべからく該当します。
ケータイの履歴をチェックするなども、不合理に自由を束縛する、典型的なデートDVの具体例なのです。
昨今、その深刻度は徐々に一般に認識されるようになってきており、例えばNPO法人SEANでも、各種取り組みを深めていたりしています。
 →http://npo-sean.org/l-kaeko/230.html

なぜそんなことが起きるかといえば、もちろん世の中全体の男女の関係性が不均整であることが、若い世代にも反映しているわけですが、殊に年頃の若い男女に与えられている、恋愛のお約束をめぐる各種の情報が、やはりというか驚くほどというか、ものすごく偏っていることの責任は小さくないでしょう。
 →SEAN発行「マンガ・雑誌の『性』情報と子どもたち」の冊子も参考に!


思えば女性アイドルの歌というのも、元来は、そういった偏った情報源のひとつだったと言えましょう。

わかりやすい(古いけど(^_^;))事例では80年代前半を代表するアイドルのひとり堀ちえみのデビュー曲『潮風の少女』。
登場するのは恋に恋するあくまでも受動的なアナタマカセの女の子。徹頭徹尾、強い腕にさらわれっぱなしで、コレはいわば“独立女子”とは対極にある態度であります。
こりゃぁもー、恋愛初心者の男の子たちに対して、かようにもデートDV的な接し方こそが「こういうのが男らしくて女の子から求められているのか!」誤解せしめるに必要十分な内容の歌詞だと言ってもよいでしょう。

反対方向からの言い方をすれば、女性アイドルが男性向けの商品である以上は、その楽曲の内容はこのようなものでなければ売れないということなのですね。


そういう意味ではBuono!の「Independent Girl ~独立女子であるために 」非常に画期的なのですが、逆に、それだとBuono!の女性アイドルとしての売れ行きがいささか心配です。

ただ、どうやら昨今は、Buono!に限らず女性アイドルグループ全般に、女性ファンの比率が高まっているようでもあります。
Buono!を売り出す側が、女性ファンをも訴求対象に入れるようになったのが時代の流れだとすると、それはよい変化だと言ってよいでしょう。

もっともその分、ジャニーズなど男性アイドルの男性ファンが増えたという話は聞かないので、まだまだ男の子と女の子が置かれた社会的位置付けがアンバランスであることが解消されていない証拠でもあるんでしょうケド。

余談ながら堀ちえみはその後結婚引退して、さらに離婚もしていますが、その離婚の原因は当時の夫からのDVだったりしました。むむむ…深い!!
現在では堀ちえみは関西ローカルの昼のバラエティ番組に関西の主婦代表のような立場でのコメントをする役回りでテレビ出演したりするほか、いつのまにかいろいろ全国展開もしてるみたいですね。スゴイ!

この、岩里祐穂さんの作詞がイイというのは[Buono!]1stや2ndのアルバムのときから言えることかもしれません。
   

ちなみに、なんと ある時期の堀ちえみの楽曲にも「作詞:岩里祐穂」を発見!
Buono!と聞き比べると、新旧アイドル比較&岩里祐穂今昔比較になるかも???
  

さらにちなみに前記事(トイレの神様)の植村花菜「わたしのかけらたち」にも、同様に岩里祐穂さん作詞の名曲が入っています。
  


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