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聖闘士星矢Ωがプリキュアみたいなのではない [メディア・家族・教育等とジェンダー]

聖闘士星矢Ωとプリキュアをめぐっては以前の記事で触れましたが、お知らせブログでも告知しているとおり、別の角度から『聖闘士星矢Ω』と『スマイルプリキュア』を比較対照してみたレポートを[ 本館 ]のほうに書きました。

要は第1話のプロットがほぼ同じ展開をしてるゾ……ってことですね(^^)


繰り返しになりますが、今や女の子アニメと男の子アニメの境界は、その内容から見ていくとじつは曖昧になってきており、かろうじて周辺のディティールの差によってカテゴライズの根拠が保たれているといったところと言えるのではないでしょうか。

そもそも、どんなジャンルであっても、見たい人が見ればよいということがフツーに認められるなら、ソレは単にジャンルの差、もっと言えば個々の作品の差であって、性別を指標としたカテゴライズには妥当しないはずなのです。

社会が勝手に「このアニメは男の子向け」と設定し、それを見たがらない男の子、「女の子向け」のほうを見たがる男の子を、異常で不適切な存在に仕立てることが、いわば「性同一性障害」を生み出していたりもする(男女逆パターンでも同様)わけですから、そうした慣行はやはり早急になくしていくべきだということもまたできましょう。


とはいえ世間では、「聖闘士星矢」には熱い男の闘いを期待する向きもなきにしもあらず。
そういう層にとっては『聖闘士星矢Ω』のアニメは、思わず「惰弱な」と呟きたくなるようなテイストが感じられてしまう部分あるのでしょうか?

そしてその場合、プリキュアと相似する部分というのは、最も許せないポイントともなりえます。

つまり、せっかくの『聖闘士星矢』なのに、こんなにも女の子アニメと同じような感じだなんて…! というわけですネ。

しかし本当にそうでしょうか。

『聖闘士星矢』のテレビアニメ前シリーズから二十数年。
その間に『セーラームーン』があり、プリキュアシリーズも年月を重ねられてきた果ての『聖闘士星矢Ω』です。

大きく変わったのは、どちらかと言うと「女の子アニメ」とされてきたカテゴリーのほうです。

そう考えると、決して『聖闘士星矢Ω』がプリキュアみたいなのではないでしょう。

むしろプリキュアのほうが聖闘士星矢みたいになったんだと捉えるほうが、事実に即しているのではないでしょうか。


  


(^^)v


◎ちなみに例の「仮面を外した女聖闘士ユナ」は、その後もイイ味を出して存在感を保っています。
性格的にはやはり同じ「風のパワーを操る戦士」であるスマイルプリキュアのキュアマーチこと緑川なおチャンと類似点も見受けられますね。……コラボ映画が楽しみだ(^o^;)
そして何より、「女神であるアテナを守るために聖闘士として戦う少年たち」のお話であるがゆえに「女性は男性によって守られる存在」というジェンダー構造に陥ってしまいがちな「聖闘士星矢」において、彼女の存在がウマい具合にその問題を回避させている効果は非常に大きいと言えるでしょう。
特にユナと「謎の偽アテナ」である少女アリアとの交流が描かれた11話は、そのあたりが顕著に見て取れる描写だったかもしれません。
……ただユナの上位必殺技で翼が生える演出が入ると、やっぱりますますパワーアップ変身したプリキュアっぽかったですが(^o^;)


 


 
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