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佐倉満咲、小学校を卒業する [今週の佐倉満咲]

さて時は春三月(のわりには寒い今年2012年(>_<))
卒業シーズンもたけなわといったところでしょうか。

このところまたぞろ卒業式(と入学式)での日の丸・君が代をめぐって面倒くさい動きをしている人たちがいるので、厄介だなぁと思っていたのですが、よくよく考えると今春は私たちも卒業式(と入学式)の当事者でありました。

そう、我が娘・満咲が小学校卒業(と中学校入学)とあいなったわけです。
いゃはや早いモンです。


先日の小学校の卒業式では、日の丸に関しては壇上になんとなく掲出、君が代は開会の辞に合わせて「一同起立」した後に速攻でそのまま斉唱へ移行して有耶無耶のうちに「規定どおりおこなった」という事実がいつのまにかでっち上がるという感じで、わりと現場のニーズに合わせた柔軟な運用だったように思えました。
事前に保護者向けに配られた卒業式のご案内のプリントでも「君が代斉唱にご協力ください」のように型どおり書いてあるだけでしたし。

まぁお上の言うとおりに厳格にヤられたらたまりませんが、こういう落としどころというのは現実的だし、こんなふうに流れ作業的に済んでしまうのであれば、子どもたちにとっても単に「式」ではこんな感じの形式的なプロセスがあるものという認識になって、ある種の特定の勢力が狙っているようなキナ臭い成果は上がるものでもなさそうなので、あんまり目くじら立てることもないのかもしれないですね。

試しに満咲にも「卒業式のために君が代も練習したん?」と訊いたら、「特にしてへんけど、アレくらいすぐ歌えるよ」という回答だったので、ある意味、ちょうどいいところなのかもしれません。

ちなみにワタシの、この卒業式・入学式における日の丸・君が代モンダイに対するスタンスの基本は、昔書いたコレが今でもだいたいあてはまります。
   ↓  ↓
 島袋舞先生の社会科講座・学校と若者
卒業式・入学式に日の丸・君が代はいらない!!


さて、そんな娘の卒業式だったんですが、小学6年生女子の卒業式といえば、世間的には「何を着ていくか」がけっこう議論の俎上にのぼったりするものです。
下手をすると際限のないオシャレ合戦になってしまうし、ウチの地域には「入学する中学校の制服を着用」なんてよくわからない習慣もないし。
まぁ、フタを開けてみると、ウチの満咲も含めてほとんどの子はほどほどにおめかしした感じでしたが。

一方、我が家には卒業式に「何を着ていくか」が深刻な問題となる人が、もうひとりいました。
はい、何を隠そうこのワタシですね、トランスジェンダー的に。

どうしても、知識として私のことを「ミサキちゃんのお父さん」と知っている人から、「ミサキちゃんのお母さん」だと思い込んでいる人までが混在している場へ出かけていくことになるので、着ていくものの選択が難しくなるのです。

それも普段の参観日などならテキトーにカジュアルな服装が可能なので、なんとか「どっちにでも見える格好」をコーディネイトしていくのですが、卒業式となると相応にフォーマルな姿でなくてはなりません。

もとより「どっちにでも見える格好」ってのは、いわば「自分のクルマを覆面パトカーそっくりに改造する」がごとき匙加減の難しさがあります。

考えた末に、結局6年前の入学式に倣い、ごく普通にレディースのパンツスーツにしました。
(ソレを「ごく普通」と言うかというツッコミはナシで(^o^;))

が、それはそれで、意外にも他のお母さん方にも同じようなパンツスーツの人がけっこういて、それゆえあまり浮くこともなく、そうしたお母さん方の中にビジュアル的に馴染んだ状態になったのが、逆にある意味浮いてしまったという、いゃ、もうこの際どーでもイイんですが…(^^)v


で、その卒業式の後半ですが、「いっしょうけんめい走った」「「「「運動会!」」」」などの一環で、卒業生ひとりひとりが各自の今後の抱負を述べるというくだりがあったのです。
そして、他の子どもたちの多くが「中学生になっても勉強がんばります」とか「将来は○○になりたいです」などと口にする中、満咲は何を思ったのか、妙に抽象的に「これこれこういう人間にワタシはなりたいです」といった概念的な人間像を述べるのであります。

しかもなぜかソレが、いわゆる男女共同参画的な立場からおこなわれる人権教育などにおいて性別にとらわれずに人間としてこんなふうに考えていったらイイんじゃないかな~と称揚されるようなフレーズと、奇妙にカブっているという。

たしかに他の子どもたちの言うような将来なりたい「○○」の具体例は、いわゆる女の子と男の子でジェンダーバイアスのかかった偏りがあったので、そういうものに与せずに何かを語ろうとすると、今般満咲が選んだような物言いになってしまうのかもしれません。

だとしたら、これもひとつの必然的な偶然だし、とりもなおさず満咲がちゃんと親の背中を見て育っているということなのかもしれませんね。


ま、そんな次第で、我が娘・満咲も4月からは中学生。
これからもしっかりと未来を見つめて、自分の道を進んでいってください。


 


 
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