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「LGBT」など性的少数者の人権、セクシュアリティの多様性、クィア論、男女共同参画などや、そうした観点に引きつけてのコミュニケーション論、メディア論、「アニメとジェンダー」など、ご要望に合わせて対応いたします。※これまでの実績などはお知らせブログにて

君との約束が映る空が切なかった世界でいちばん遠い夏 [その他雑感つぶやき]

お知らせブログで述べたとおり、今年の夏休みの旅行は東北・青森方面だったのですが、これ、特に下北半島方面へのドライブは、かの小説『M教師学園』の青森編の内容の下敷きともなっている、かつて実際に旅した行程と重なる部分も多く、自分自身の、なにやらこの世界にはもはや自分の居場所がないような感覚を引きずりながらハンドルを握っていた当時の感覚を、はからずも思い出しては、ちょいとしんみりした気分になったりもしていました。

だいたいソレは1990年代のちょうど半ばで、いちばんワタシが壊れていたときでもあり、物理的には帰る家はあったものの、心理的にはいよいよ行き場がなくなって追い詰められていて、本当に世界を彷徨っているような気分で八甲田山(こちらは今回は訪れず)から、下北半島(こっちは小説の靖彦センセイの旅程には反映されず)へ分け入っていたのです。

しかし、今にして思うと、そんなときにも、じつは未来は生まれていたわけで、今回、我が娘・満咲を伴って、恐山や尻屋埼を巡ることには、感慨もひとしお。

特に尻屋埼は前回は時間が遅くなったために直前のゲートで止められてしまっていた(というスゴイ罠があるんですよ、あそこは!)ので、今回はそのリベンジを果たす意味もあったのです

あのとき、生きるのをやめていたら、現在はないんですよね。


……と、いうような思いを密かに秘めた旅行ではあったのですが、レンタカーを借りることについては、もはや戸籍改名からも久しいので、免許証提示はノープロブレムですね。

それから、今年の私は去年までのワタシと違う!?
従来は満咲と2人で旅行時は、温泉など大浴場は大事をとって断念していたのですが、今年からはソノ点も問題なし!!
おかげさまで、満咲とともにヒバの香りの露天風呂も満喫してまいりました。
(ヒネた言い方をするなら、こういうときにだけ最大のメリットがある。
 普段の社会生活の変化はといえばまぁいわば気分の問題とか)

ちなみに、この点を事前に満咲に説明した際のやり取り。
「今年はいっしょに大浴場に入るデ(^^)v」
「やったーっ!」
………満咲よ。ソレがキミの答えか(^o^;)


 


珠玉の深夜アニメ『花咲くいろは』 [メディア・家族・教育等とジェンダー]

深夜アニメというと、怪しげな萌え系オタク受け作品だというイメージを持っている人もいるのかもしれません。
しかし今日では、アニメ作品が深夜時間帯に放映される比重は、もはや深夜アニメを抜きに日本のアニメ文化は語れないほどに高まっていて、ハードディスクレコーダーの普及による録画の簡便化ともあいまって、事実上は放送時間帯が深夜なだけの作品群と言っても、あながち間違いではないでしょう。

むしろ深夜でない時間帯に放映可能な――ある程度は幅広く一般受けが見込めるという意味で――無難な内容のアニメよりも、斬新で画期的な内容のものも少なくない可能性があります。

殊にジェンダーやセクシュアリティに関する描写について、それは顕著かもしれません。
例えばセクシュアルマイノリティをテーマにしたドラマだと、それゆえにかえって守旧的な性別観念に拘泥した言動が、主人公や周囲の登場人物に数多く見られることもままあります。
しかし、深夜アニメなどにあっては、そうした現状をもはや何段も突き抜けた次元で制作されている場合も少なくありません。
「男の娘」の存在がフツーに想定されていても特段の事象ではなく、また女の子どうしの友情以上の関係性も、しごくナチュラルなかたちで織り込まれていたり。

そうした点では、深夜アニメはまさに時代の最先端にあると考えてもよいのかもしれないです。


そんな中で、この2011年夏時点で個人的に注目されるのは、やはり『花咲くいろは』ですね。
春先から2クールの予定でオンエア中です。
  ※詳しくは↓公式サイト↓で

アニメーションとしての映像クォリティの高さもさることながら、物語が非常に上質です。

旅館の従業員として働く女子高校生を主人公に、職場や学校での人間模様、友情と淡い恋心、家庭や大人社会の事情との葛藤……などを織りまぜながら、若い女性が自己の内面と真摯に向き合い、今そこで自分ができる精一杯のことを主体的に模索しつつ、成長していくさまは、じつに見る者の心に響きます。

しかも、そうした物語が、押し付けがましくも説教臭くもなく、さっぱりと描かれているのが非常に爽快で、まさに見ると心地よい気分になれるアニメと言えましょう。
いわば、見るだけで幸せを感じられるアニメ、「しあわせのアニメ」なわけです。

そうそう、ちゃんと(!?)百合萌えシーンも随所に含まれてます(*^_^*)


そう考えると、やはりかように良質なアニメ『花咲くいろは』が、視聴率的にはどうしても不利な深夜帯というのは、もったいない気がしますね。
いっそのこと『スイートプリキュア』あたりと放映枠を入れ替えたいくらいです。



§その他ツイッターでの関連ツイートは、
 の他、ツイログのほうを【花咲くいろは】で絞り込んでみてください


   


それからnano.RIPEらによる主題歌群も、ものすごくイイのです

   



◎『花咲くいろは』に対して、水着や入浴シーン、あるいはセーラー服姿の主人公らをローアングルで描くなどの「サービス」が過剰という批判もあるかもしれないし、必要や必然が感じられないにもかかわらずそれらが挿入されるきらいがなくはない。
とはいえ、そうした批判は、基本的には「子ども向けヒーロー番組にはなぜ変身シーンがあるのか」と同様なのであって、現行の社会経済システムの中で制作費を回収しなければならない以上、営業的なリターンを確実に見込むために求められる方策は、ある程度は講じざるを得ない点は、理解されねばなるまい。



ゴーカイジャーのナビィ、2011年度モリゾー・キッコロ大賞にノミネート!? [多様なセクシュアリティ]

というわけで、テレビドラマ『IS ~男でも女でもない性~』などを見ても、あらためて痛感されるのは、「男か、それとも女か」の二者択一ですべてを割りきろうとすることこそが諸悪の根源である――わけです。

そうした二元的な性別システムは、社会の隅々まで入り込んでいるわけですが、ソレを端的に象徴しているひとつとして、本来は性別などない無生物がモチーフのキャラクターにまで性別が付与される(あまつさえ男女一対のペアとして設定されたりする)ことが少なくないことは、何度か触れているとおりです

一方で、そうした二元的性別システムに反旗を翻し、「性別・謎」の汚名を誇りとして名乗るようなキャラクターもいないではありません。

§詳しくはサイドバーの検索ボックスにて【性別 なぞ】【性別 謎】などで過去記事を絞り込みできます


そして、よく見ると現在絶賛放映中の戦隊ヒーロー最新作『海賊戦隊ゴーカイジャー』における、いわゆるマスコット的存在である、ナビゲーションロボットの「ナビィ」も、いささか「性別・謎」系キャラクターだと言えなくもありません。

テレビ朝日の『ゴーカイジャー』サイトでのキャラクター紹介では「ナビィ お宝ナビゲート機能を搭載したオウム型ロボット。ゴーカイジャーは、ナビィがキャッチするヒントを元に、お宝探索!」となっており、公式には性別について言及されていません。

作品本編中ではナビィが女子高生に「カワイィーっ!」と取り囲まれてご満悦だったというようなセリフがあり、これをもってナビィは男の子だと解釈する向きもありますが、それもあくまでも異性愛主義的な考えに則ったものに過ぎません。
一人称が「おいら」だというのも然り。

逆に沖縄地方では「ナビィ」というのが女性を表す語だという意見もなくはないかもしれません。
[ 参考 ]三線専門店 ナビィ三線 http://www.nabbie.com/
 映画『ナビィの恋』なんてのもありました
とはいえ、ゴーカイジャーのナビィの名前は「お宝さがしのナビゲーション機能を持つ」ことに由来しているようなので、ナビィが女の子だとする根拠には、イマイチ使えそうにないです。

そうして、作中のゴーカイジャーのメンバーたちにおいてもまた、ナビィの性別について、ことさらに男女のいずれかであることを前提とした言動は、明示的には描写されていません。
むしろ、ナビィの性別は知らないんですというニュアンスが濃厚で、そしてそのことがさしたる問題であるようにはなっていないのです。

ぃやー、さすが性別なんてどうでもいい」「いちいち性別について考慮するのが面倒なゴーカイジャーであります。

§その他ツイッターで細々と述べている点は、
http://twitter.com/#!/tomorine3908tw/status/92445829964627968

http://twitter.com/#!/tomorine3908tw/status/92446296052469760
 の他、ツイログのほうを【ゴーカイジャー】で絞り込んでみてください
あ、もちろんこのブログも(^^)


くり返しになりますが、ナビィは、鳥(オウム)をモチーフにしているとはいえ、あくまでもロボット、生物ではありませんから、生物学的な性別もありません。
にもかかわらず、キャラクターとして性別を設定しないではいられないというのが、まさに性別二分社会の悪しき強迫観念だと言えます。

「男」か「女」か、そのいずれかでないといけないという風潮が、例えばセクシュアルマイノリティの生きづらさを招来しているとすれば、これは本当に深刻な人権問題でもあるのです。

そのためにも、こうしたナビィのような「性別・謎」が、もっともっと一般的になることは、社会のあり方に一石を投じるという点において、非常に有意義なのではないでしょうか。

  

もっともナビィがロボットであるというのも、公式サイトには記述されているものの、作品中では明言されていないような気もします。
例えば「誰も電池を交換したことはない」「そもそも電池で動いてるの?」ということは描かれていたので、動力についても不明(小型原子炉内蔵! …だったりするのは時節柄モンダイだなぁ(^_^;))。
その他、ナビィの出自については、かなりの部分がまさしく「謎」になっています。
場合によっては「ナビィ黒幕説」だって出かねないくらいです。
そんな謎キャラが、みんなにフツーに受け入れられている描写というのは、考えてみると、じつは非常に貴重なのかもしれませんヨ♪


 


 
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