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「LGBT」など性的少数者の人権、セクシュアリティの多様性、クィア論、男女共同参画などや、そうした観点に引きつけてのコミュニケーション論、メディア論、「アニメとジェンダー」など、ご要望に合わせて対応いたします。※これまでの実績などはお知らせブログにて

40年後のガッチャマン [メディア・家族・教育等とジェンダー]

「たびたびスミマセン(^^ゞ さらに引き続き、またもや佐倉智美 著・小説『1999年の子どもたち登場人物の佐倉満咲です;」

「例によって同じく、栗林理素奈です」

学級委員の桜庭詩諳です。今日は歩ちゃんが病院の診察の日なので、私が代わりなのです」

「本編の作中では、まだこの時期の私たちは歩クンのそういう細かい事情、知らないんだけどね、本当は」

「ソレを言うなら、私だって本格的にストーリーに絡んで、みんなと仲よくなるのは9月からの文化祭編第3巻参照)以降だったり;」

「……クリスマスパーティ翌日に風邪ひきのミサキちゃんを介抱するシーン(第4巻参照)は百合アトモスフィア全開よね(*^_^*) あれはやっぱり《愛の告白》??」

「いえいえ私なんて、春休みに海浜幕張のホテルでダブルベッドが役立つことになる(第7巻参照)ソナちゃんには、敵いませんヨ(*^_^*)」

「はいはい2人とも、本編作中じゃ互いに知り得ない情報で会話しない(^^ゞ」

「そうだったね」

「ゴメンね、ミサキ」

「で、ミサキちゃん、前記事前々記事に続いて、私たち3度めの召集なんだけど、今度は何??」

「いゃぁ、またお父さんからの指令でさ、【キミたちに集まってもらったのは他でもない。『響け!ユーフォニアム』←→『エースをねらえ』のような比較対象を的確に設定した新旧作品比較には大いに意義があった。この機会に他にも済ませておくべき案件があれば取り組んでおくのが望ましい。そこでキミたちの使命だが、それを《ガッチャマン》についておこなうことにある。ギャザー、ゴッドフェニックス発進せよ!】ということなんだ……(^_^;)」

「大変ねぇ、ミサキも(^^)」

「ガッチャマン……って、昔のアニメのヒーローだっけ??」

「そう、1970年代にやってた『科学忍者隊ガッチャマン』が、そもそものオリジナル。いろいろ凝ったストーリーと丁寧な設定で、今も高く評価されてると聞いてるよ。ただ、チームヒーローとして5人のメンバー中に女性は1人だけで、ジェンダー的には質・量ともに、いわゆる紅一点問題を典型的に露呈していたという批判も今となっては免れないとも……」

「たしかに白鳥のジュンの役回りは、1970年代当時にはそれなりに挑戦的だったかもしれないけど、現在の肥えた目で見てしまうと、ものすごく類型的だと言わざるを得ないでしょうね」

「……でもガッチャマン、最近リメイクされたのよね?」

「そう。2年前に首都圏などでオンエアされてた『ガッチャマンクラウズ』。関西では放送されなくて、この前やっとニコニコ動画で観れたって、お父さんウルさくてさぁ(^^ゞ」

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(画像は公式のサイトより。以下は本記事中は配信画面より。 →NTV公式サイト

「やっぱり、旧作とはいろいろ違ってたりするの?」

「うん、基本的に旧作とはまったくちがう新しいガッチャマンだった。作中の設定で舞台となってるのが、やっぱり2015年なんだけど、これもまた真の2015年クォリティの《ヒーロー物語》って感じ。すごいヨカッタし、おもしろかった!」

「テーマとしては、SNSに潜む様々な危険性をきちんとふまえつつ、それでもそうした新しい情報通信ネットワークがひとりひとりの端末を介して人々の善意を的確につないでいくことによって社会をよりよく動かしていく可能性を描いてる……んだっけ?」

「だいたいそんな感じかな。その結果、【ヒーローとは何か】という命題の21世紀における解答例も示してたと思う」

ジェンダー観点で評価したらどうなるのかしら。男女混成のチームヒーローなのに主人公が女子高校生なんでしょ?」

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「いゃあ、一ノ瀬はじめチャン、最高だよ。彼女が主体的に行動することが積極的に物語を動かしていく様は、まさに新時代男性的な正義の論理を優先する社会の中で周縁化されてきた女性的な価値基準が今こそ重要だと、わかりやすく描かれた、いわば《ケアとキュア》のガッチャマンだね。以て、この2015年が、旧作『科学忍者隊ガッチャマン』の時代の紅一点問題を何段階も超越した位置にあることを心地よく再確認できる仕上がりだったヨ♪」

「この図版とか、女の子の変身なのに変身後の意匠が、あえて顔まで隠れる《特撮スーツ》タイプで露出控えめってのも珍しくないの?」

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そのとーり。あと、はじめチャンの豊満な胸も、一見するとただの《サービス》に見えるけど、これにもちゃんと意味がある。ラストのナニを《少女の自己犠牲による世界の救済》と批判するのもできなくはないけど、ソコまで悲壮にも描かれてないしねー」

「それから、一ノ瀬はじめチャンってボクっ娘なんだよね」

「そうそう。さらにもうひとり一人称がボクな女の子が出てくるように見える」

ボクっ娘が2人も出てくるなんて、私たちと張り合うつもりかしら(^^)」

「……ハハハ、奇遇だねぇ(^o^;)」

「ただ、そのボクっ娘に見える累クンって女装少年なんじゃなかったっけ」

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「ボクっ娘が女装少年!? どこまで……!!」

「しかもその累クンが女装少年として行動している理由を誰も追及しない! 視聴者から見れば、人目を欺く変装なだけともとれる一方、ラストで事態が収束した後の生活でも女装状態を継続してて、さらには女友達ができて嬉しそうな描写もあったから、何らかの性別違和を持っているがゆえにも思える。でも結局のところ作中では、それはべつに累クンがそうしたいからそうしているだけで、ソレでべつにかまわないというスタンスになってる。これはプリパラのレオナにかかわる描写の先がけとなってたわけだね」

「………むしろ理由があるのは、もう古いのかしら?」

「大丈夫よ。ソコまで言わなくても(^_^;)」

「他にも異星人とのハーフでベテランのメンバーという設定のO・Dさんにも《おネェキャラ》属性を入れてあるし、ストーリー全体を通じた敵として存在するベルク・カッツェも、もちろん性別不詳だから、はじめチャンの一人称がボクなことを除いても、なんとトランスジェンダルなキャラクターがしれっと3人も登場し、そのこと自体は何ら問題視されずに、各々のキャラは役割を果たしてることになる。これはプリパラのレオナも驚く画期的さで、かなり攻めた設定だと評価すべきでしょ」

「ベルク・カッツェって、同名のキャラクターは旧作『科学忍者隊ガッチャマン』から登場してるんじゃなかった?」

「そーなんだよ。旧作での敵の中ボスがベルク・カッツェで、そのときからすでにトランスジェンダルな属性が入ってたんだ。じつはその正体は本来は男女の双……」

「ミサキちゃん、ダメーーーぇぇっ!!!

 それ、ものすごぉぉーく私たちのネタバレ!
  アタヽ(д`ヽ彡ノ´д)ノフタ 」

「……なんかものすごくヤバかったっぽいわねw」

「悪かった; いやはやまったくもぉ、作者ったら旧作ガッチャマンどストライク世代なんだから(^^ゞ」

「ともあれ『ガッチャマンクラウズ』に関しては、今月から2期の『ガッチャマンクラウズ インサイト』が始まってるみたいだし、要チェックじゃない? →NTV公式サイト

「そ~だね。新キャラとして追加登場するガッチャマンも、変身するのは個性的で魅力いっぱいの女子高校生ということで、キービジュアルなんか見ると、ほとんど《ふたりはプリキュア》状態w」

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「……コレはもう、1970年代の人に見せて【これが40年後のガッチャマンです】って言っても、信じてもらえなさそうねw」
※じつは旧作『科学忍者隊ガッチャマン』第100話のサブタイトルが「20年後のガッチャマン」だったりします

「むしろ2011年前後へ持って行ったら【これ来年のプリキュアの流出バレ画像!】と人を担げそうなくらいだろ(^^;)」

「私たちの本編作中で2学期の文化祭のクラスの劇でミサキが書く台本が変身美少女戦士モノ第3巻参照)なのも、こういうリアル2015年の状況に鑑みると、ホントにさもありなんって感じだね」

「いやはや;」

「というところで、その文化祭の準備も控えてる本編作中に戻りましょうか」

「では皆様、今日のところもそろそろお開きに…」

「またね~(^^)ノ」



  

  

  

  §全7巻§


◇◇


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オーバーロード

 『ガッチャマンクラウズ』という作品は放送地域が非常に少なかったらしく、私も実は第一期はまだ未視聴です。ただ、ホームページ等で設定を見たときには、正直「これがガッチャマン?」と思うほどの変わりようでした(『テッカマン』と『テッカマンブレード』の差を上回る)。旧作との共通性は「ガッチャマン」という名称、変身時の掛け声(「バードGO」)、一部キャラクターの名前(ベルク・カッツェ、総裁X等)くらいであり、まるで別の作品と考えた方がよいでしょう。その意味では拒否反応を抱く方がいたとしても無理からぬことだと思います。

 ただ、今回の佐倉さんのコラムを読んでみると、中々に良い点が多いようですね。第二期は始まったばかりですが、すべて観てみるつもりです。

 なお、この作品には元祖ガッチャマンの一人、大鷲の健を演じた森功至さんが出演されています。個人的には森さんが演じるJ・J・ロビンソンには何とか「白い翼のガッチャマン」に変身してほしいと思います。第二期はそれくらいしてもよいのではないでしょうか(旧作のファンも喜ぶし、拒否反応も減らせるだろう)。
by オーバーロード (2015-07-22 22:51) 

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