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異性カップルならOKなことが同性カップルだと不可なのは差別 [多様なセクシュアリティ]

というわけで、お知らせブログの方で紹介したとおり、ワタクシ佐倉智美の『性同一性障害の社会学』のことが2015年2月13日(金)の朝日新聞「天声人語」にて言及されたのですが、そのきっかけとなったのが、東京の渋谷区が同性カップルに対して「結婚に相当する関係」と認定して証明書を発行するべく条例化を目指すという取り組み。

→ [参考]東京新聞webサイトより
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015021202000140.html


これは、素直に考える限りは、大変に画期的で喜ばしいことでしょう。

異性カップルなら当然の権利が同性カップルだと認められないのは明白な差別。
そういう困った状態を、少しでも補完して、同性カップルの社会的な福利の向上が図られるのは、人権の観点からも大いに評価されるべきです。
まずはこの条例、成立するよう期待したいところです。


だいいち(参考に示した上記のリンク先の東京新聞の記事にもありますが)日本国憲法24条というのは、そもそも「親どうしが決めた許嫁」のようなことはダメであって、誰でも本人どうしが望む相手と結婚できるべきという趣旨のはずです。
したがって、これが同性婚を否定する根拠に使われるのは、その趣旨と真逆な解釈なのではないでしょうか。

「憲法解釈を変える」というのであれば、まずもってこういうところからというのがスジだと言ってもよいでしょう。


もちろん、また別の次元での問題提起として、まぁ結婚とか家族とか、あと戸籍をめぐる諸制度の抜本的な作りなおしが、まずもって必要になってきてるよね……というのもとみに重要な論点です。
が、現状で異性カップルと同性カップルが異なる取り扱いを受けている事実が、法の下の平等にも反しているだろうと指摘することは、それらともじゅうぶんに両立します。


◎『桜Trick』でコトネちゃんに許婚がいるという設定は、憲法24条が同性婚否定の理由に使われることへの風刺とも読めますね

 SaTri-C2E.jpg
(アニメショップ「アニメイト」フリーペーパー
「きゃらびぃ」Vol.322(2014/06/05)によるまとめより
 原作コミック『桜Trick』タチ:作)


恋愛・結婚、性、そして家族や共同体のあり方にかんしても、多様性を肯定して取り込んでいったほうが、文化として豊穣になり、社会の制度だってより盤石になりえます。

徒に同性愛を忌避したりするよりも――すなわち「同性婚が家族制度を破壊する」などと言うよりも、さまざまな結婚や家族のカタチが用意された社会のほうが、例えば「少子化対策」等々にしても、むしろ上手くいくのではないだろうかという発想は、今まさに求められているものではないでしょうか。


……思えば、すでに拙著『性同一性障害の社会学』の中でも、じつはそのようなことは述べてあったりします。
今般はモリゾー&キッコロの性別の件が言及されたわけですが、その意味では、ぜひこの機会に、多くの方にあらためて手にとっていただけると幸いです。


そうして、元の話題である渋谷区の「同性カップル証明書」についても、こういうニュースをきっかけに一般の関心が高まり、セクシュアルマイノリティがより生きやすい社会になっていくことにつながればいいなぁと思います。


  ☆ 



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