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いきものがかり「春」に『M教師学園』巻末は【百合】だと叫ぶ [多様なセクシュアリティ]

いきものがかりのニューアルバム『FUN! FUN! FANFARE!』がリリースされました。

の「なんで」のようにかなり明示的にも読めるナンバーはなかったものの、恋愛がテーマの前面に出てくる楽曲であっても「異性愛にしか聞こえない」度は引き続きすこぶる低い(4曲目「キラリ」なんて映画『アオハライド』とのタイアップとのことなのに知らずに聞けばぜんぜんそんな感じがしない!)安心安定のクォリティです。

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 ※FUN! FUN! FANFARE! CDジャケットより


今や紅白歌合戦の常連でもある国民的歌手(嵐のようなジャニーズやAKB系列などのアイドルを除けば、まさに「日本を代表する」!?)として、聴く人を選ぶような尖った要素は削ぎ、耳あたりの良い作風に配慮しつつも、それでいて多数派の価値規準に安易におもねた商品にはしておらず、聴く人の心にさまざまなアプローチで迫ってくる作品づくりは、さすがと言うべきでしょう。


そんな『FUN! FUN! FANFARE!』、7曲目の「春」(作詞:水野良樹)を聴いて私は「おぉっ!?」となりました。

こ、これは……

ワタシの小説『M教師学園の巻末のサイドストーリー青い春のマチュリティ主題歌にするのにピッタリの内容じゃん!!

  (^^ゞ

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 ※FUN! FUN! FANFARE! ライナーノートより


拙著『M教師学園』の本編のほうは、異性愛に囚われた男性主人公らが既存の恋愛ルールやジェンダー規範の中でジタバタする(ことの描写をとおして、そういうモノの理不尽さ、バカバカしさを再考する)お話なので、ほとんど「百合」要素などはない(そのかわり主人公・靖彦センセイの苗字が「百合」ですが;あと「男子になりたい女子生徒」などはキーパーソンとして登場します)のですが、この巻末のサイドストーリー「青い春のマチュリティ」は、本編での重要キャラ垣上碧集(かきうえあおい)センセイをメインに据えた「外伝」で、じつはかなり百合百合しい物語なのです。

時系列的には本編がはじまる直前の春休み期間中に、職員室のデスクを整理していた碧集先生が、自分の在学中は頼れるお姉さんのような先生として、自分も同じ学校の教師になってからは信頼できる先輩教員として慕っていた晴海暖芳(はるみのどか)先生との出来事を回想するというつくり。

で、まぁ、この暖芳×碧集のさまざまなエピソードというのが、なかなか微妙な距離感の関係性で………なわけです。ユリユリ~(*^_^*)

そして、このいきものがかり「春」は、そんな碧集さんが、その春休みの職員室で暖芳さんのことを思い返す気持ち、まさにそのまんまという感じになっているではありませんか!
(あんまり言うとネタバレになっちゃいますが、この際まぁイイか(^^;))

執筆中の作者イメージトレーニングには、暫定的に GARNET CROW の「夢みたあとで」をヘビロテしてたんですが(その後、石野田奈津代の「春空」が、逆に暖芳視点で碧集を想う歌に聞こえるというのもあったけど)、執筆当時からこの歌があればよりピッタリ上手くハマったのになぁ……。


   

  


ともあれ、この例のように「百合解釈」にも余裕で対応してくれる、いきものがかりの楽曲群には感謝の限りであります。

この観点からも、もっと評価されるべきと願うところです。


◎ちなみに(前にも言いましたが)日頃から「百合解釈」で聴いている楽曲のPVをたまたまネットで見かけて再生してみると、いきなりドドォォーンと異性愛カップルが登場して激しくショックを受ける……というような事案は相応の頻度で発生しがちです。
できれば「【閲覧注意!】ヘテロ描写アリ!!」くらい書いといてほしいものです。
(冗談です(^_^;))
……じつはさっき、上述の石野田奈津代「春空」について念のため検索した際、出てきたPVをちょっと見てみたらまさにこのインシデント発生で、ものすごく地雷だったところなのです。
そういえば以前に熊木杏里の「Love letter ~桜~」でも同じようなことがあったなぁ;


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