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新世代の聖闘士星矢はじまる! [メディア・家族・教育等とジェンダー]

往年の人気アニメ『聖闘士星矢』といえば1980年代後半に大きなムーヴメントとなった作品ですが、なんと今年2012年4月から、その新シリーズ、題して『聖闘士星矢Ω』が始まり、日曜日の朝6時30分から毎週放送されています。

「Ω」はギリシャ文字の「オメガ」です。
続編を表す記号ということなら例えば「#」でも「ドッカ~ン!」でも「ナ・イ・ショ」でもよさそうなものですが(^^;)、元々がギリシャ神話をフィーチャーした物語ゆえのギリシャ文字ということなのでしょう。

前シリーズについては、前記事でも少し触れたとおり、当時親しくしていた女性が『聖闘士星矢』を愛好しており、特に好きなキャラクターが主要登場人物の中でも最も女性的な少年・アンドロメダ瞬だということで、私も後にアニメや原作コミックにハマっていく際には、特にこのアンドロメダ瞬に感情移入しがちだったのですが、その理由はむしろ私自身の性別認識にあったのだということは、今ならわかります。


そんな新シリーズ『聖闘士星矢Ω』、放送開始の直前の3月下旬、はてさてどんな作品なのかと、公式サイトに情報を仕入れにアクセスしてみました。

 →東映アニメーション公式サイト聖闘士星矢Ω
  (引用画像はこの公式サイトよりキャプチャ)

 BL120504-01seiya.JPG

ふむふむ。なるほど。

原作にはないオリジナルストーリーで、主要登場人物も一新。
原作の主人公らの子世代にあたる若者たちが新たに聖闘士となって悪と戦うという設定ですか…。
なかなかイイじゃないですか。

それに世代交代は作中のキャラの世界のみならず、東映アニメーションの制作スタッフレベルでもいわば子世代に引き継がれたようなものですから、アニメ制作の技術革新ともあいまって、絵柄的にも21世紀の作品っぽいスタイリッシュなものに洗練された雰囲気です。

これはなかなかオモシロそう…!

同時に私は思いました。

これって…


ちがいがあるのか!?

 

……プリキュアと


元々1980年代の『聖闘士星矢』が終了した後しばらくして同じ放送枠で始まったのが『セーラームーン』、そしてそのエートスを東映内で発展的に継承したのがプリキュアシリーズと言えます。
そういう「遺伝子レベル」でも、アニメのジャンル(主人公らが等身大の装着系変身でパワーアップして敵と格闘系の戦いをするというのが基本フォーマット)的にも、じつは結構近い位置に両者はあるはずです。

いやいや、両者は片や男の子アニメ、他方は女の子アニメ、ぜんぜん違う!
という意見もあるかもしれませんが、むしろそんなふうに思い込んでいる人が多いが故に、子どもたちが番組を視聴する周辺環境のほうが異なってしまい、結果としてそれが男の子アニメと女の子アニメの差異を構築しているという側面は見過ごしてはなりません。

実際、動画サイトなどを検索すると、聖闘士星矢の主題歌に乗せてプリキュアシリーズの画像を編集したMAD動画は少なからず見つかります。

両者を構成する諸要素が、相当に互換可能というのは、つまるところ2作品間に本質的な隔絶はないということの証左でもあるでしょう。

オマケに制作スタッフをよく見ると「キャラクターデザイン・総作画監督:馬越嘉彦」。
……ってったらプリキュアシリーズにもかかわられたことがある方ではないですか!
少なくともビジュアル的には、かなりの類似性が見られることになると言ってよいでしょう。


そう思って、さらに公式サイトのキャラ紹介のページを開いてみました。

そこには絵柄的に「性別不明」キャラも少なくない中、ズバリ女性キャラとして主要登場人物の一角を占めると思わしき女聖闘士「ユナ」も紹介されています。

旧シリーズでは歌舞伎の女形よろしく、実質的には女性戦士ポジションであったアンドロメダ瞬も戸籍上は男性というかたちでしたが、今回は時代も進んだことで、メインメンバーに正式に女性を入れるということなのでしょう。

………ただ、だとするとますますプリキュアとのビジュアル面での相似が気になります。

私はおそるおそる「ユナ」の詳細ページをクリックしました。
すると……


 BL120504-02seiya_YUNA.JPG


だぁーーーっ!

まるっきり
プリキュアじゃん
やっぱり(^o^;)

いや、これはマジじゅうぶんに、この画像を見せながら「これ7月に追加登場する6人目の『スマイルプリキュア』のネタバレ流出情報!」とか言って誰かを担げるレベルです。

参考までに『聖闘士星矢Ω』の2時間後に放送される番組となる『スマイルプリキュア』の同様の公式サイトキャラ紹介ページから、この聖闘士ユナと「風のパワーの戦士」ということで共通項があるキュアマーチを比較対照してみましょう。

 BL120504-03CureMarch.JPG

……………………。

やはりせいぜい「同じプリキュアシリーズ内の後番組」程度の差異しかありませんねー(^^)v

 →東映アニメーション公式サイトスマイルプリキュア
  (やはり引用画像はこの公式サイトよりキャプチャ)


というわけで、はたしてこの2作品は番組としてネタカブりにならないのか?
…と、部外者ながら心配になると同時に、この2作品が同時期(それも同じ曜日の近接した時間帯)にオンエアされることで、男の子アニメと女の子アニメの間の垣根が、また一段低くなるという成果が得られていくことが、ひそかに期待されるところとなりました。

また、ここまで大枠でのフォーマットを揃えてもらえると、細かなディティールの部分での差異――つまり子どもたちが視聴する周辺環境の差に寄って社会的に構築されている男女差の部分――が比較・分析しやすいという、研究上のメリットも大きいかもしれません。

そして、そのことに資するつくりにならばこそ、『聖闘士星矢Ω』が新世代の聖闘士物語として今日の視聴者に受け継がれていくに足る意義のあるものになるのではないでしょうか。


  


さて、そんなことを考えながら、先の女聖闘士「ユナ」の紹介ページを見ていて、ふと私は気づきました。

「あれっ?」

そうなのです。


……仮面をつけてない!

 

じつのところ、アニメ『聖闘士星矢』の旧シリーズや、その元となった車田正美による原作コミックは、やはり20年以上前という時代的な仕様なのでしょうか、けっこう男性中心主義的というか、男性ホモソーシャルな論理に基づく女性の排除がおこなわれているというか、要するにお話としては女性キャラをもっぱら補助的な位置づけにしか置いていなかったのも事実なのです。

それを物語の設定上で支えていたのが、聖闘士になれるのは男性のみで、どうしても女性が聖闘士になるときには「女を捨てる」ために仮面をつけなければならない……というような「掟」だったのです。

はたして、仮面の掟はどうなってしまったのでしょうか?

もしかして1999年には男女共同参画社会基本法もできたことですし、聖闘士の世界でも仮面の掟が撤廃されたなんてことがあったのでしょうか??

ひとしきり考えをめぐらせましたが、やはりこの点が、つまり新シリーズにおける女聖闘士「ユナ」の仮面問題を、どのように掘り下げて描いてくるのかが、まさに『Ω』が新時代の作品として相応しいか否かの試金石となるのではないかと思われました。

しこうして、この女聖闘士「ユナ」登場編である『聖闘士星矢Ω』第3話は注目されるところとなったのです。

§ggさんのコメント(ありがとうございました!)にあるように、この仮面の掟については掘り下げていくと、男性社会やそれと表裏一体の女性への抑圧の構造といろいろつながっているものが見えてきます。
もっとも、こっちから批判するにせよ、向こうがそれに応えるにせよ、聖闘士星矢のアニメ内ではたしかに扱いきれなさそうですねーw。
ただ、東映としては、やはりプリキュア時代の聖闘士星矢を制作するにあたっては、仮面の掟は「なかったこと」にしたかったものの、かと言って旧作&原作ファンに対する一定の説明は必要ということで、その落としどころとして描かれたのが、あの(↓)第3話だったのではないでしょうか。
(2012/05/08)


『聖闘士星矢Ω』第3話がはじまってみると、たしかに当初のユナは仮面をつけた状態で登場します。
やはり仮面の掟はいまだにあるようです。

しかしユナ本人はそれに納得しきれず、複雑な思いを抱えている描写です。

そして聖闘士仲間の中でもちょっとイジワル系のキャラ(←お話的にはメインメンバーになれないモブキャラポジション)からは、「女のくせに」とか「女は仮面つけて黙ってろ」みたいな女性蔑視発言も再三投げかけられています。

そうしてついに怒り心頭に発したユナは……… とまぁあまり詳しくあらすじを紹介すると面倒くさいのでネタバレになるので省略しますが、要するにユナ本人が葛藤の末に自分の気持ちに真っ直ぐ向きあって仮面の掟を拒む決意をし、周囲もソレを好意的に認めるに至るのです。

しかもその過程をウジウジグダグタ何週も引っ張らず、第3話の中だけでスッキリ上手くまとめてあり、きっかけを作ったイジワル系キャラも、最後は素直に「負けたゼ」とばかりにユナに一目置く側にとっとと回るのです。


……ぃやーヨカッタです。
かくして仮面ナシ女聖闘士が正式に誕生したわけですが、見てて気持ちのよい展開でしたね。
まさに新時代の聖闘士星矢はこうでなくては! というふうにできていました。
この第3話ならば、今後も期待できると言ってよいと思われました。

なにせ『セーラームーン』さえまだだった旧シリーズとちがって、今般は2時間後にはプリキュアが控えています。
そこでは女の子たちがこともなげに変身して伝説の戦士となり悪と戦っているのです。

なのに片やこっち側の世界では女戦士には面倒な制約の設定があるなんて、そりゃぁ視聴者に受け入れられない時代だということを、東映もよくわかってたということかもしれません。

女は聖闘士に原則なれないなんて設定が幅を利かせていると、プリキュアに飽き足らない女児を視聴者として取り込むうえでの妨げにもなるからマヅいという、営業上の理由も大きいでしょうしね。

プラス、せっかくの美少女キャラが仮面で顔を隠してるなんて誰得ってのもあるでしょう(^^)


というわけで『聖闘士星矢Ω』と『スマイルプリキュア』、日曜朝の2大装着変身系格闘アニメとして、しばらくの間お互いに研鑽しあって視聴者を楽しませてくれるところとなってほしいものです。

……できれば秋あたりにコラボ映画を希望 (^o^)丿

 

◎『スマイルプリキュア』は初期メンバー5人編成で、5人各々の特徴付けとして、炎のパワーとか風のパワーとかの属性設定が付与されているのですが、どうしたことか『聖闘士星矢Ω』でも各聖闘士たちの小宇宙のパワーに旧シリーズにも原作コミックにもない属性設定が導入され、なんかモノの見事に1対1対応しちゃうのですヨ^^;

キュアハッピー/光/ペガサス光牙
キュアサニー/炎/ライオネット蒼摩
キュアピース/雷/オリオン エデン
キュアマーチ/風/アクィラ ユナ
キュアビューティ/水/ドラゴン龍峰
(追加戦士?)/土/ウルフ栄斗
(追加戦士?)/闇/(敵限定??)

やっぱ東映がコラボ映画を企んでる!?

 

◎『聖闘士星矢Ω』で女聖闘士も仮面ナシOKになったのに対して、プリキュアシリーズではいまだに男の子がプリキュアになることはできていないので、その点にクレームをつける向きもあるやもしれませんが、この点はいわゆる男女共同参画におけるアファーマティブ・アクションということで正当だと言えます。
つまり、男性キャラが主人公の直近の対等な立場に配置されるとどうしても現実世界のジェンダー秩序の影響を受けるし、下手な恋愛ボケ展開にも陥る危険がある中では、ジェンダー規範に邪魔されずに個々の女性キャラを生き生きと動かせるためには「女の子ばかり」という設定が必要悪とならざるをえないのです。
ただ、前例に鑑みるとプリキュアに変身するのがいわゆる「男装の麗人だったことはありますし、おそらくそう遠くない将来「男の娘が変身」という事例なら登場するのではないでしょうか。
言ってみれば…

女の子は誰でもプリキュアになれる!」
  ↓
「せめて男の娘も可…になりませんか?」
  ↓
「とりあえず男の子優先プリキュアつくりました(=聖闘士Ω)」
  ↓ ←イマココ
  ↓ ↓もうすぐ??
「性別、どうでもよくなりましたっ!!!」

…てな感じ

 

◎プリキュア×聖闘士星矢のMAD動画としては2012年5月現在……

力作です(^^)
探せば他に『プリキュア5』や劇場版バージョンなどもあるはず


 


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コメント 1

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gg

お久しぶりです。ggです。
こちらのブログで聖闘士聖矢の仮面の掟に興味を持ちググってみたのですが…
そもそも聖闘士が原則男性しかなれないのは、アテナという「女性神」に仕えるのは男でなくてはならない、という理由なんですねー。あれ、伊勢神宮の内宮は女性の神様を祭ってるからカップルで行くと別れる、って都市伝説と同じ理由…?
むしろ、女性の神は嫉妬深いという偏見からできた掟でしょうか。
そして女性聖闘士にとって、仮面の下の素顔を見られたら、その相手を殺すか愛さなくてはならないという掟は、まさに仮面とは「貞操」のメタファではないですか。
そう考えると、仮面の掟とはただの男性中心主義からではなく、もっと根深い「女性はかくあるべき」という型への拘束から生まれたものでは…と思う訳です。
ま、新シリーズでそこまで突っ込むかどうかはわからないですが…。
by gg (2012-05-06 11:49) 

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