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勢いで「僕の妹はガンダムに乗れる」の続きを書いてみた [メディア・家族・教育等とジェンダー]

『機動戦士ガンダムAGE』、「親子三世代にわたる物語」の2世代目主人公アセム編も、先週いちおうの決着を迎えました。

が、やっぱり最後までいろいろ酷かったです。少なくとも女性キャラの描き方は、いまどきのアニメに期待される水準からすれば最悪と言っても過言ではないかもしれません。
前記事にいただいているggさんのコメント(ありがとうございましたノ)にもあるように、まさに女性の人間性がキチンと描けていないのです。

ロマリーは結局はアセムと結婚するためだけのキャラで終わらせられてしまいました。
しかもラストは教会での結婚式のシーンって、ようするに「結婚こそ女の幸せ」ということが言いたいんでしょうか?
あんなにも活躍する場面がなかった理由は、「学生気分のままで軍に入ってみた自分はまだまだコドモだったのだ」という主旨のセリフによって、制作側は見事にロマリー本人に責任転嫁までしています。
いやいや、ロマリー本人や、ましてやCV花澤香菜さんのせいじゃないから!

眼鏡っ娘整備士レミも、プロポーズを受諾した途端に戦闘に巻き込まれて死亡という展開は、つまるところ「結婚こそ女の幸せ」という価値観に則った、その裏返しの悲劇描写の犠牲になったわけですね。
あの初登場時のメカオタクぶりなどこそ、自立した女性の生き方を示すひとつの事例として多くの人が評価していたはずなのに、どうも制作側はそこに内在する価値には気づいていなかったようです。

そして、せっかくのアリーサの役回りも、どんどん中途半端になってしまいましたし、かろうじて設定上は医療ボランティアに生きがいを見出したとされるアセムの妹ユノアも、肝心のその件が、アセムのセリフで語られるだけという扱い。

もぅものの見事な勘違いっぷりなのではないでしょうか。

なんというか、この件に関してこの観点から批評しているのがワタクシ佐倉智美くらいしかいないからまだいいようなものの、もしも永年にわたってメディア表現の中のジェンダー問題に取り組んでおられるフェミニズム界の重鎮の方々に『機動戦士ガンダムAGE』を見せたら、その酷評はこんなものでは済まないはずです。

挙句、「いまだにアニメ表現の中での女性の描写はこんなものでしかないのか!?」なんて誤解されてしまったら、いったいどう責任を取るつもりでしょうか。

(念のため言っておくと、もっと画期的なアニメはいまどきたくさんあります)

とにもかくにも、女性キャラが男性キャラと対等な人格を持った人間ではなく、あくまでも男性キャラにとっての都合のよい存在でしかないのでは、名作とは対極の位置にあるとしか言えません。

はたして『機動戦士ガンダムAGE』、3世代目主人公キオ編はどうなるのでしょうか?

 

◎というわけで記事タイトルのとおり、さらに調子に乗ってユノアが主人公のスピンオフ小説『僕の妹はガンダムに乗れる』の続きを書いてみました(^o^;)

 『 僕の妹はガンダムに乗れる 』
第2話「俺の妹がガンダムに乗れるわけがない」

「ねぇ聞いた、ユノア?」
「え………な、何?
「昨日のヴェイガンの襲撃だよぉ。なんでも白いモビルスーツが颯爽と現れて撃退しちゃったってウワサだよ」
「そ、そうなんだ」
「知らないの? …でも大丈夫だった? あれってユノアの家の近くだったんじゃないの??」
「う、うん~、まぁ………」
屈託なく話しかけてくるカノン・アスカに、ユノア・アスノは少しキレの悪い返事をしながら笑顔を作った。
苗字の綴りが途中まで同じなため出席番号がいつも隣どうしで、幼稚園のころ以来の親友であるカノンは、ユノアにとって何でも隠し事せずに話し合える仲であるはずだった。
(ちがう…、あれはヴェイガンじゃない……)
ユノアは昨日の戦いを思い返す。
ガンダムのビームサーベルが切り裂いた雑魚敵は次々と実体を失い光の塊として四散していった。
そのときコクピットの中でハロは、自分もまた「謎の妖精プログラム」が起動したまま、あれはトルディアのどこかで誰かがプログラムした闇のウィルスが、スーパーコンピューターから発せられるエネルギーとして実体化したものだと説明した。
そして最後に残った1体のモビルスーツ型だけは、いわば格上敵で手ごわかった。
「アイツには何か実体があるハロ。憑依している闇の力を浄化することが必要ハロ」
「じ、浄化って……、どうやって?」
ハロがデータを転送すると、AGEデバイスはいったいどんな原理だったのか物理法則を無視するように、ガンダムの武器を宙空に生成した。
「『レインボーキュアライフル』ハロ!」
コロニーの中でこんなビームライフルみたいなのを派手にぶっ放してよいのかとの常識的な逡巡はあった。しかし、これはこのタイミングで不思議な力によって出現したもの。大丈夫だというユノアの判断は早かった。
「わかった、こいつで撃てばいいのね」
ユノアが操るガンダムはライフルを手に取り狙いを定めた。
「ガンダムレインボーキュアシュートっ!」
そうして虹色のビームが敵に命中すると、黒いオーラのようなものが蒸発するように霧消し、やがてその場に倒れこんだのは、無人のモビルスーツだった。本来トルディアの警護のために配備されていたはずの連邦軍の量産型である。
その後、街で暴れまわったのがじつは連邦軍のモビルスーツだったのはマズいということで情報統制が敷かれ、襲撃はヴェイガンによるものと発表、ガンダムのことも公には伏せられた形となっている。ユノアの父であり連邦軍の司令官であるフリット・アスノが裏から手を回したというのも大きい。
それを受けて、バルガスとも相談した結果、ガンダムをユノアが動かしていたことは、公言しないほうがよいだろうということになったのだ。
(まーお父さん的にはアタシがAGE-1を動かしたことに焦ってたらしいケドねぇ。お兄ちゃんなんか「俺の妹がガンダムに乗れるわけがない」とか言ってそう……)
とはいえ初戦は首尾よくしのいだユノアにしても、敵がやってくる大元の原因まで取り除けたわけではない。再びの来襲は必ずあると言えよう。
そうなれば今後も上手く戦っていけるのかとなると、ユノアにも不安は残る。万一の場合に、カノンをはじめとした学校のみんなも危険の巻き添えにしてしまうようなことは避けたかった。
だとすれば、やはり自分がガンダムのパイロットをしていたなどとは、吹聴してまわれるものではなかった。
「ねっ、ユノアって!」
カノンのやや語気を強めた呼びかけに、ユノアは我に返った。
「あ、う、うん……」
「もーどうしちゃったのユノア、なんか怖い顔で考え込んじゃって。今日はなんかヘンよ?」
「え、そーかな……、あっ、その、ほら、もうすぐ期末テストだし」
さらに愛想笑いを重ねて話をはぐらかすかに見えるユノアに、カノンは不審の念を抱いた。
(ごめんね、カノン。でもこれ、言えないんだ……)
心の中で謝るユノアの気持ちを、しかしこのときのカノンがすべて理解できるはずはなかった。
(中略)
あちらこちらで火の手が上がった。
スタジアムはたちまちパニックの坩堝と化した。
逃げ惑う人々。阿鼻叫喚。
ユノアとカノンは手を取り合ってなんとかスタジアムの外まで脱出した。
3体の敵モビルスーツ型はなおも少しずつ移動しながら破壊を続けているが、ここまで来れば緊切した危険レベルは一段下がったと見ていいだろう。
ユノアはカノンに向き直った。
「カノン、ごめん、アタシ行かなきゃならないの。あなたはこっちから先に逃げて」
しかしカノンの納得がいかないという反応は、しごく真っ当なものであった。
「行くって…………、いったいどこに、こんなときに!?」
「それは……」
ユノアは困惑した。
カノンが訝るのももっともだ。しかしバルガスからの連絡では、裏手にカートを回してくれているはずだ。早く家に戻ってガンダムを出さなければ……。
「ホントにごめん。でもアタシがやらなきゃ……ならないことなの」
そう言って、背を向け走りだそうとするユノア。
「ユノア! 私に何を隠してるの?」
しかしカノンの叫びが心に刺さって足が一旦止まる。
「こないだからずっとそうよ。今までふたりは、どんなことだって話し合ってきたじゃない。その私にも言えないことって……何なのよ」
唇を噛むユノア。しかし時間はなかった。
「…………いつか必ず話すから。だから今は逃げて、カノン」
「ユノア……」
涙目のユノアが振り向くと、カノンの頬にも滴が伝っていた。
(中略)
「遅い!」
十分に引きつけた雑魚敵2体の攻撃を交わしたユノアのガンダムは、その2体の反転に一歩先んじてビームサーベルを振るった。
ビームは敵の急所を貫いた。
もはや実体化を保つことができなくなった敵は、ただのエネルギーの塊となり、一瞬の後に黒いオーラとして雲散した。
「宮本武蔵直伝、ビームサーベル二刀流!」
学校の国語の教科書で仕入れた知識を元に、少し決めゼリフっぽいことを口にしてみるユノア。
「ムサシ、ミヤモトムサシ、ユノア二刀流ハロ!」
ハロの無邪気なリアクションに少し心が癒される気がするユノア。
「あとはあのボスキャラだけ!」
前回の例からすれば、あの個体だけは何かの物体に闇のエネルギーが憑依しているはずだ。またあのライフルで浄化すればいい。
ユノアは操縦レバーを器用に調節してガンダムの姿勢を整える。
と、そのとき近くのビルの袂に人影が見えた。
「……カノン!?」
ユノアは絶句した。
どうしてカノンがまだあんなところに……。
その隙をついて敵はトンファーのような武器でガンダムに迫ってきた。
かろうじてかわすと、勢いでそのトンファーはスタジアムの外壁を打撃し、破片が地上へと落ちていく。
「あっ!」
まさにカノンのいるあたりに大き目のコンクリート片が落下しようとしているのが見えた。
「だめーーーっ!」
ユノアは操縦レバーを必死で倒し、カノンと落下するコンクリート片との間にガンダムを滑り込ませた。かろうじてコンクリート片は排除された。
ガンダムのメインカメラは、驚いたようにガンダムを見上げるカノンと目が合った。
しかし、むろんこのときカノンにはパイロットがユノアだとはわからない。
ユノアはガンダムの腕の動きでカノンにこの場から離れるように指示をすると、あらためて敵に対峙した。
「アタシの大切な友だちを危険な目に遭わすなんて……、絶対に許さない!」
と、そのときAGEデバイスが光った。
同時にコクピットの外でも七色の光がはじけると、前回の戦いのときとと同様に、ガンダムはレインボーキュアライフルを手にしていた。
(後略)


(*^_^*)


 


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gg

ガンダムAGEが変わらずな展開をしている間に、スマイルプリキュアではあるキャラクターがプリキュア史上初の快挙を遂げていますが…。

その快挙を遂げたキャラクターは、敵幹部の狼男、ウルフルン。
なんと悪役のグッズは作らない、と言うプリキュアのお約束を打ち破り、単独グッズ化されたのです!
これは男子層狙いのマーケティング?それとも、イース同様味方化フラグ?

いずれにしても人気のほどが伺えます。時代は今狼男だ!
by gg (2012-04-30 15:32) 

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